徳川幕府が開かれる前年の1602年(慶長7年)に誕生し、400年以上の歴史がある「養命酒」が、ラップ調のリズムゲームを公開した。何とも意外な取り組みに見えるが、ツイッター上では人気だ。
ゲームで使われるオリジナルソングを歌うのは、MC Yomay(ヨウメイ)とDJ Shu(シュウ)のユニットで、「胃腸、重要、温めよう」と韻を踏んで養命酒の効能を歌い上げ、ユニークさが際立っている。
「Yo! May! Shu!」と連呼、「妙にクセになる」
養命酒製造(本社・東京都渋谷区)が2016年11月28日から17年3月26日まで実施中の「胃腸de上々!キャンペーン」は、特設サイトでリズムゲームをプレーし、高得点者にプレゼントが当たるというもの。スマートフォン(スマホ)かパソコン(PC)のブラウザで挑戦できる。
ゲームは、ラップ調の楽曲に合わせて画面の上から落ちてくる音符をタイミングよくタップする(PCはキーを押す)ことで、得点を積み重ねていく。楽曲のバックに流れる映像では、女性MC Yomayが歌い、男性のDJ Shuはその隣で踊る様子が映される。
歌詞では、クリスマスやバレンタインデーを1人で過ごし、温めてくれる人がいないと嘆く女性の気持ちを歌う。そして、そんな時は養命酒を飲んで温まろうと呼びかける、という内容だ。「Yo! May! Shu!」と連呼するサビも随所で挿入され、長さは3分40秒ほどある。
医薬品の養命酒から「ノリノリ」な音楽ゲームが飛び出したというギャップに、ツイッターでは「養命酒攻めてるねw」という声が複数出たほか、「妙にクセになるリズムゲームだ」「つい2回やっちゃった」などとハマるユーザーも出ている。
J-CASTヘルスケアの取材に答えた養命酒製造マーケティング部担当者によると、キャンペーンは「養命酒の支持層は中高年が中心だが、どうにか若い世代にもアプローチしたいと思った」のがきっかけだ。ただ、「単純に効能を言っても伝わらないだろうと思い、スマホでプレーできるリズムゲームでのPRならどうかと、思い切って制作した」という。
作曲は「あたりまえ体操」の音楽作家
担当者によると、作曲はお笑いコンビ・COWCOWの持ちネタ「あたりまえ体操」を手がけた音楽作家・樋口太陽さんが手がけた。歌詞は、プロの作詞家が養命酒製造の社員と打ち合わせながら書き上げた。実はこの作詞家こそがDJ Shuで、その同僚の妻がMC Yomayの「正体」だ。なお、Yomayは「養命」だけでなく「嫁」ともかけた。
プレゼントにも工夫を凝らした。胃腸を温めるという養命酒の効能からダジャレをきかせた「養命酒チョウネクタイ(胃腸だけに)」や、養命酒のラベルがデザインされた「養命酒腹巻」、楽曲を収録した「アナログ12インチレコード」がそろう。デジタル音源化が進むこの時代にあえてアナログ盤を選んだのは「レコードの方がより『温かみのある』音が聞けると言われているから」(担当者)と、ここでも養命酒の効能である「温める」に引っかけた。
養命酒は複数ある効能の中でも「滋養強壮」のイメージが強く、「体が弱ってきた」と感じる中高年の愛飲者が多い。と担当者は話す。一方で、血行や代謝の促進により、冷え症や肉体疲労、胃腸虚弱にも効き目が認められている。
「冷え症や肉体疲労は20~30代でも悩む人が多く、若年層にも健康のために飲んでいただければと思っています。リズムゲームの楽曲でも、『冷え症』『胃腸の冷え』に効く点をクローズアップしています」
ゲームは「思った以上の反響で、100点満点を出した人もいて驚いている。曲が多くの方々に脳内再生されたら嬉しいですね」と担当者は話していた。