欧州各国で相次ぐ国政選挙の影響
ただ、日欧EPA交渉がもたつき、2017年の早期に実現しなければ、その先の不透明感は強まる。17年に欧州各国で相次ぐ国政選挙の結果が響きかねないためだ。3月のオランダ総選挙では、極右政党が支持を拡大する可能性が指摘されている。4~5月のフランスの大統領選でも、極右の国民戦線のルペン党首が決選投票に進むのが確実視され、「台風の目」として注目を集める。さらに、秋に総選挙が予定されるドイツでも、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進観測がしきりだ。いずれも、移民流入拡大への人々の不安を利用した極右勢力のキャンペーンが一定程度、成功しているとされ、トランプ当選と軌を一にする流れだ。
英国では2016年夏の国民投票でEU離脱が決まり、17年春にも離脱交渉が始まる見込みだ。こうした状況の中、欧州で自国至上主義などの勢いが強まれば、日本とのEPA交渉は漂流する可能性も指摘される。日本にとっては年明け早々の交渉が正念場になりそうだ。