TPPショックだけじゃない? 日欧「経済連携協定」にも漂流の危機

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   日本と欧州連合(EU)との間で進められている経済連携協定(EPA)交渉の行方に懸念が高まっている。両者は2016年内の大筋合意を目指してきたが、結果的には折り合えずに、断念。2017年早期の合意を目指す方針で一致しているものの、欧州では17年春以降、独仏など主要国の重要な選挙が相次ぎ、結果次第では「内向き志向」が高まる可能性もある。早期妥結できない場合、交渉は棚上げ状態に陥りかねない。

   日欧のEPA交渉は2013年にスタート、関税の引き下げや知的財産権などのルール作りを目指しており、これまでは「16年のできる限り早い時期」の大筋合意を目指してきた。

  • 年明け早々の離脱交渉が正念場
    年明け早々の離脱交渉が正念場
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「合意は近い」との見通し出るも、交渉は越年

   日本はEUに対し、自動車にかかる10%の関税の早期撤廃などを要求している。これに対し、EUは「撤廃の準備はあるが、我々の利益と交換だ」などとして、チーズをはじめとした乳製品などの高いレベルの自由化を求めてきた。交渉は難航していると見られていたが、2016年12月初旬には、両者から「合意は近い」との見通しが示された。だが、最終的には調整が詰められず、妥協には至らずに年を越した。

   日本にとって日欧EPAへの期待はこれまで以上に高まっている。最大の理由は、日米など12か国で合意した環太平洋経済連携協定(TPP)の撤回を、米国のトランプ次期大統領が明言し、発効が絶望的になっているためだ。安倍政権は、TPPをアベノミクスの成長戦略の柱と位置づけてきた。そんなTPPが空中分解してしまえば、政権の基盤を揺るがせかねない。その「埋め合わせ」として、日欧EPAの位置づけが一気に高まったわけだ。

   日欧の国内総生産(GDP)を合わせると世界の約3割を占め、約4割のTPPに迫る規模になるだけに、日欧EPAが実現すれば、世界の貿易に及ぼす影響は小さくない。安倍政権は、日欧EPAに早期に合意することで、自由貿易圏作りの機運を高め、トランプ次期政権にTPP承認について再考を促したい狙いもあるとみられる。そんな安倍政権の思惑が、日欧交渉を進展させる要因になっているとの見方は強い。

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