タバコをなかなかやめられないアナタ。「1日20本吸っていたけど、今は5本に減らしたから、大丈夫」と甘い考えに浸っていないだろうか。
タバコは1日1本未満でも肺がんの死亡リスクは9倍、10本以内では12倍に高まるという研究が発表された。どんなに少なくてもタバコに安全な量など存在しないのだ。
肺がん死亡率が1日1本未満で9倍、10本以内で11倍
この研究をまとめたのは米国国立衛生研究所の一機関である国立がん研究所のマキ井上博士のチームだ。米医師会誌「JAMA内科学」(電子版)の2016年12月5日号に発表された。
国立衛生研究所が12月5日付で発表したプレスリリースによると、研究チームは少ない喫煙量が健康に与える影響を調べるために、米国退職者協会の健康データを分析した。2004~2005年に喫煙習慣のアンケート調査に回答した29万215人(調査開始時点で59~82歳)を約7年間追跡調査した。アンケートでは15歳から現在にいたるまでの喫煙歴を聞いている。
その結果、現在の喫煙者は7.7%、過去に喫煙歴のある人が53.9%、非喫煙者が38.4%だった。喫煙者の1日に吸う本数は年代ごとに変わったが、若い頃から1日に1本未満の「超少量喫煙」を続けた人は159人、また、1~10本の「少量喫煙」は1493人だけだった。研究では、この「少量喫煙」を継続した人にスポットを当てた。
調査期間中に3万7331人が死亡した。人種、経済状態、教育水準、運動経験、アルコール摂取量などの要因を考慮した結果、少量喫煙者の死亡リスクを、タバコを吸わない人と比較すると次のことがわかった。
(1)特にタバコの悪影響が強い肺がんの死亡リスクは、1日1本未満の人が9.1倍、1日1~10本の人が11.6倍に達した。
(2)あらゆる病気・事故の全死亡リスクは、1日1本未満の人が1.6倍、1日1~10本の人が1.9倍だった。
(3)しかし、禁煙した年齢が若いほど死亡リスクは下がった。たとえば、50歳以上で禁煙すると、全死亡リスクは、それまで1日1本未満吸っていた人が1.4倍に、1日1~10本の人も1.4倍に下がった。