映画のタイトルやジャンル、監督名や出演俳優は全て秘密。作品を選ぶ手がかりになるのは、たった一言の「レビュー」だけ――
レンタルショップ大手の「TSUTAYA(ツタヤ)」馬事公苑店(東京・世田谷区)で実施されている、こんな風変りなレンタル企画が注目を集めている。一部のレンタル作品のパッケージを隠し、あえて「どんな作品か分からない」状態で陳列したものだ。
「とにかくパパが強くて全員ボコボコにします」
ツタヤ馬事公苑店では2016年10月から、『NOTジャケ借り』と題した企画を展開している。店内に張り出されたポスターでは企画の概要について、
「面白さ絶対保証の商品群からパッケージに書かれたレビューの一部分だけを手掛かりに映画を選ぶという斬新なレンタルスタイル。(略)今見たいと思う映画を、心の襞に問いかけながら『直感』でお選び下さい」
と説明。企画スペースに陳列されたレンタル作品は、いずれも映画のタイトルやジャケットなどの情報が分からないように、パッケージ全体が特製のカバーで覆われている。
作品を借りるにあたって「唯一の情報」として提示される、特製カバーにプリントされた一言レビューも特徴的だ。実際に店頭に並んでいるカバーのうち、いくつかを紹介すると、
「とにかくパパが強くて全員ボコボコにします」
「人間の腐った部分を詰め込んだらこうなる」
「こんな友達がほしいわぁぁぁ」
「いやもうなんかとにかくいいやつなのよ」
「大切な人のためなら何をしてもええのんか?」
などといった具合だ。いずれも映画の内容が一切分からないながらも、どこかシュールで心に引っかかるフレーズとなっている。
ツタヤ「過去の名作を手にとって頂きたい」
ツタヤを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の担当者は、6日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「実は、ツタヤで借りられる作品の多くは『新作』になります。そのため、今回の企画も、良い映画なのに中々レンタルされない過去の名作を、どうにかして手にとって頂きたいという思いで始めたものになります」
と企画の狙いを説明する。
担当者によれば、この企画のために用意されたタイトルは約60作品。また、映画のタイトルはレジに持って行った段階で教えて貰えるため、「過去に観たことのある作品を、再度借りてしまう心配はない」という。
なお、今回の『NOTジャケ借り』がネット上で注目を集めることになったのは、あるツイッターユーザーが2017年1月5日に、
「TSUTAYAがとんでもない企画出してきててびっくりしてる」
などと画像付きで報告したことがきっかけだ。この投稿は翌6日の昼時点で、すでに6万回以上リツイート(拡散)されるなど大きな注目を集めている。
店が企画をスタートさせてから2か月以上が経って急に話題を集めたことについて、CCCの担当者は「いきなり大きな話題となったので、正直驚いています」。その上で、
「お客様やメディアからの問い合わせもさることながら、他のツタヤ店舗からも『うちの店でもやりたい』との要望が数多く出ています。今回注目を集めたことをきっかけに、同じような企画を他店舗に広げることも検討する予定です」
と話していた。