プロ棋士はもはや囲碁AIに勝てない 進化型アルファ碁「Master」の衝撃

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人間では理解できない手が30手以内に出てくる

   囲碁は別名「手談」ともいわれ、プロ同士の戦いならば、対戦相手の性格、癖、プレイスタイルなどを把握していて、打ち手の呼吸だけで相手の考えを察知する。そして実力とは別にその日の体調、威圧感やオーラのようなものも影響してくる。人間ならば、構想を立て、流れを読みながら勝利を引き寄せる。しかし、「Master」にはそれがない。常に局面ごとの最適解を探索し、勝利を求める。囲碁はおよそ200手で決まるものだが、大橋六段は、

「人間では理解できない手が30手以内に出てくる。しかし、後にそれが良い場所になってくる不思議、マジックのようだった」

と説明し、30手までに「これはおかしい」と不安になり、50手で「ヤバイ」、100手で「大差で負ける」。最後は「お稽古してもらっている」気分になった、という。

   それでもいつかはテレビゲームのように攻略法が見つかるのではないのか、と聞くと、

「無理なのではないでしょうか」

と大橋六段は語った。例えば現在5歳の囲碁の天才に囲碁AIの棋譜を記憶させ続ければ10歳の頃には攻略は可能になるかもしれないが、それは5年前の囲碁AIの性能に対する攻略であり、囲碁AIはさらに遥か先に進化しているからだという。

「絶対に勝てないからといってAI鬱、AIシンドロームなどと落ち込む必要はなく、囲碁界はこれからいかにAIを活用して全体を盛り上げていく道を探り、明るい関わり方をしていかなければならないと感じています」

   そう大橋六段は話している。

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