2016年12月31日放送の「紅白歌合戦」のあるワンシーンが、ネットで厳しい批判にさらされている。レスリング女子・吉田沙保里選手が「どうしたら結婚できるか」について、他の出演者が話し合う内容だ。
著名人の中にも「激怒した」と告白する人も出て、「炎上」は放送から5日経っても、おさまる気配を見せていない。
「吉田さん、どうしたら結婚できると思う?」
番組が始まっておよそ2時間が経ち、紅組・西野カナさんのパフォーマンスを迎える直前のこと。曲紹介の際、ぺこ&りゅうちぇると、西野さんの「大ファン」だという吉田さんが登場した。
問題のシーンはここから始まる。まず、司会の有村架純さんが「西野カナさんに歌っていただくのはウェディングソング、といえば?」と差し向ける。やはり司会の嵐・相葉雅紀さんは、同日発表された、ぺこさんとりゅうちぇるさんの結婚をここで改めて伝え、2人を祝福。
続けざまに、「吉田さん、どうしたら結婚できると思う?」とりゅうちぇるさんに質問した。するとりゅうちぇるさんは、「すっごい自分みがきしてるし、すっごい女の子らしいから、すぐできると思う! 努力しなくてもできると思う!」と即答した。
アドバイスを受けた吉田さんは「え、本当ですか?」と苦笑いしつつも、「嬉しいけど、頑張ります」と控えめに答えた。時間にして1分足らずの、短いやり取りだ。
しかし、番組放送時からツイッターで
「暴言以外の何ものでもない」
といった疑問の声が噴出した。
「女の子らしさ」の押し付け?
さらに、育児問題などにとりくむNPO法人・フローレンス代表の駒崎弘樹さんは17年1月2日、Yahoo!個人に「紅白で感じた『女らしさ』の呪い」と題する記事を投稿。
相葉さんやりゅうちぇるさんの発言を、「結婚はその人の個人的な問題で、するもしないも自由」「国民の大半が見ている番組で、そんなこと聞くべき質問じゃない」「女性は『女の子らしく』女性性を強調しないと、結婚できないのかよ」「なんで女性に『女の子らしさ』を押し付けるんだよ。それって抑圧だろ」と厳しく批判した。
記事の最後では、「もう21世紀に入って16年も経つのに、いまだにこんなこと言わないといけないなんて、俺は恥ずかしいよ。年末でゆっくりしたいのに、激怒した」と振り返り、「呪いの言葉に、気づけ。自分が何気無く使っている言葉に、呪いがかかってないか、立ち止まって考えてみよう」と読者に呼びかけている。
ただ、駒崎さんの記事には、ツイッターなどで異論も相次いだ。吉田さんは出演番組で「結婚願望」を明かしており問題ない、相葉さんら2人よりも「台本」に不備があるのでは、といったものだ。「紅白」の放送から5日経ってもなお、ネット上では熱い議論が続いている。
「台本」の詳細は不明ながら、「結婚願望」があるのは間違いなさそうだ。16年2月11日放送の「徹子の部屋 祝40周年 最強夢トークスペシャル」(テレビ朝日系)で「ホントに(恋人が)欲しいです。幸せになりたい」と打ち明けたり、12月16日に東京都内で行われたイベントで「いい人できたらみなさんに報告したい」と語ったりしている。番組出演のたび、吉田さんに結婚の話題が振られるのはもはや「定番」だ。
ちなみに、17年1月5日発売(首都圏など)の「週刊新潮」(1月12日号)では、本番では時間の関係でカットされた、当該シーンの「台本」が紹介されている。
台本通りなら、有村さんに「理想の相手」を聞かれた吉田さんは、「男らしく私を守ってくれる人です」と回答。相葉さんがこれに「吉田さんを守る人は大変そうですね」とかぶせる流れになっていたらしい。