心筋梗塞改善するタンパク質 九州大などが世界で初めて発見

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   心筋梗塞は突然死につながるばかりか、命が助かっても重い後遺症が残る場合が多い恐ろしい病気だ。

   九州大学などの研究チームが、心筋梗塞の悪化を防ぐことに役立つタンパク質を世界で初めて発見し、米科学誌「Journal of Clinical Investigation」(電子版)の2016年12月5日号に発表した。心筋梗塞の新しい治療法の開発が期待される。

  • 突然死を招く心筋梗塞(写真はイメージ)
    突然死を招く心筋梗塞(写真はイメージ)
  • 突然死を招く心筋梗塞(写真はイメージ)

心臓の死んだ細胞を食べる「掃除屋」を働かせる

   九州大学の12月6日付発表資料によると、心筋梗塞は、心臓の細胞に酸素や栄養を供給する冠動脈が動脈硬化によって詰まって起こる。発症すると、栄養を絶たれた心臓の細胞が死んでしまう。死んだ細胞は、「貪食(どんしょく)細胞」と呼ばれる「掃除屋」に食べられるが、心筋梗塞を起こすと大量に細胞が死ぬため、放置される死細胞が多く出る。

   すると、それらの死細胞から有毒な内容物が流出し、強い炎症が起こり、病状が悪化する。貪食細胞が死細胞を食べる時には、あるタンパク質が働いて、「ここに死細胞がいますよ」と導く役目を果たすが、これまでタンパク質の正体がわかっていなかった。

   研究チームは、貪食細胞が死細胞を食べる時、「MFG-E8」というタンパク質が誘導し、貪食活動を促進していることを世界で初めて発見した。そして、心筋梗塞を起こしたマウスの心臓に「MFG-E8」を投与すると、病状が大きく改善すること確認した。

   研究チームの黒瀬等・九州大学教授らは発表資料の中で「死んだ細胞をすばやく取り除き、心筋梗塞の悪化を抑えるという新たな観点の治療法に道が開けました。MFG-E8の投与は心筋梗塞の新たな治療法の開発につながることが期待されます」とコメントしている。

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