お屠蘇気分がまだ冷めやらぬ2017年1月5日10時すぎ、東京外国為替市場のドル円相場は、前日17時と比べて70銭ほどの円安の1ドル116円50銭台で推移。年始から続いていたリスク選好的なドル買いが一服しつつあり、やや下げ渋っている。
とはいえ、2016年11月以降の「トランプ相場」の流れが続いており、相変わらずの円安基調に変わりはない。2017年のドル円相場はどうなるのか――。J‐CASTニュースの読者に、その水準をワンクリック投票で聞いた。
欧州の「選挙イヤー」にも揺さぶられる
2016年のドル円相場を振り返ると、まるでジェットコースターのような、かつてないほど乱高下した1年だった。16年1月に1ドル118~119円台ではじまったドル円相場は、「アベノミクス効果」への不信感が広がってきた2月には113~114円台で推移。6月には英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票で「離脱派」が勝利したことで1ドル99円台まで、一気に高騰。その後も国内景気の低迷などもあって、100~105円ほどの円高水準で推移した。
ところが、11月の米大統領選で当初の世論調査に反して共和党のドナルド・トランプ氏が勝利すると、一気にドル高円安に反転した。その勢いが、17年の年明け後も続いているわけだが、相場は1年前の水準より、やや円高にある。
東京外国為替市場は1月2日(17時)に117円51銭を付け、16年最後の12月30日から64銭円安に振れた。3日に117円74銭、4日は117円24銭と117円台をキープ。5日午前は116円31銭~117円43銭のレンジで推移している。
2017年のドル円相場を占ううえで、押さえておきたいのが国内外のイベントだ。1月20日、米国では共和党のドナルド・トランプ氏が大統領に就任、「トランプ政権」がスタート。16年12月に政策金利の引き上げを実施した米連邦準備制度理事会(FRB)の「追加利上げ」に注目が集まるほか、3月末には英国の欧州連合(EU)離脱の通告期限(予定)が到来する。
国内では衆議院の解散・総選挙がささやかれているが、海外に目を移しても17年は「選挙イヤー」といっていいほど、各国で選挙が目白押しだ。欧州では、3月のオランダ総選挙、4月からはフランス大統領選がはじまり、9月にはドイツ連邦議会選挙が行われる。
こうしたイベントが外国為替市場を揺さぶることになる。
トランプ発言に右往左往する1年に
では、J‐CASTニュースの読者は、2017年のドル円相場をどのように見ているのだろうか――。
一番多かったのは、「1ドル100円~115円」のレンジで、39.9%が予測した。次いで、38.1%と僅差で「115円~125円」が続いた。この二つでほぼ8割を占めており、1ドル=115円をはさんで、為替の読みは真っ二つに割れているといえる。1月5日の水準は1ドル=116円台半ばで、今後、上下どちらに向かうのかが注目される。
円安がさらに進んで「125円以上」まで下落すると予測した人は12.1%いる一方、円高基調に反転して「100円」を突破すると読んだ人も8.8%いた。
寄せられたコメントには、
「日本経済は米国中心の輸出経済依存型。ほとんどの国際取引は米ドル建て取引。米国の実体経済に基づくドル高は神風とも言うべき状況だ」
「強いのは米国だけ。トランプ発言に右往左往する1年になる」
と、先行きの不透明な状況を憂う声は少なくなく、ドル円相場は読みにくい展開が続くとの見方で一致しているようだ。
一方、専門家の見方はどうか――。経済専門誌が行った2107年の経済予測では、週刊東洋経済が「大半のエコノミストが1ドル110~120円のレンジ」と予想。週刊ダイヤモンドは「米国景気の行方次第となりそうだ」と予測。エコノミストへのアンケート調査で、最もドル高円安を予測したドイツ証券の田中泰輔グローバル・マクロ・リサーチ・オフィサーは、17年末に1ドル125円。また、大和証券の亀岡祐次チーフ為替アナリストは最も円高の予測で、1ドル95円と予測した。
週刊エコノミストは、シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストが「17年半ばにかけては一時1ドル110円台を割り込むドル安・円高のリスクも想定しておくべき」とみている。
1ドル118~120円台で推移すると、輸出企業などのドル売り予約が増えるとの見方もある。