21兆円を国民につけ回し 東電原発処理費用の急膨張

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   大事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所の廃炉や被災者への賠償の費用が、やはり膨らんだ。2013年時点では総額11兆円と見込んでいたのが、21.5兆円と大幅に上方修正されたのだ。

   当初から過少見積もりとささやかれていたが、わずか3年で2倍というのはあまりにお粗末だ。結局は電気料金に上乗せされて国民負担につけ回しされるのは確実だが、まともな議論なく話が進むのは、国民不在というしかない。

  • 経済産業省は東電福島第一原発の廃炉と賠償費用を上方修正した
    経済産業省は東電福島第一原発の廃炉と賠償費用を上方修正した
  • 経済産業省は東電福島第一原発の廃炉と賠償費用を上方修正した

世耕経産相「増加することもあり得る」

   費用21.5兆円は、経済産業省が12月9日に発表した。最大項目は福島第1原発の廃炉費用で、旧来の2兆円から8兆円へと4倍になった。だが、同事故では汚染された地下水の発生が止まらず、溶け落ちた核燃料が原子炉を突き破っているのが確実で、取り出し方も未定とあって、8兆円さえ腰だめで弾いた数字と言わざるを得ない。

   このほか、避難者らへの損害賠償が5.4兆円から2.5兆円増え7.9兆円、除染が2.5兆円から1.5兆円増え4兆円、汚染土などを保管する中間貯蔵施設が1.1兆円から0.5兆円増えて1.6兆円に、それぞれ膨らんだ。当初見通しが甘かったのはもちろん、除染の遅れで避難指示解除が遅れ、避難が長期化したことなども要因という。

   世耕弘成経産相は12月20日の会見で、21.5兆円について「当面さらに上振れすることはないと考えているが、状況変化や予見できなかった要因で、増加することもあり得る」と、早くも将来の増加の可能性を否定しない。

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