伝統の第93回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝、10区間217.1キロメートル)が2017年1月2~3日に行われ、青山学院大学が11時間4分10秒の走破タイムで総合優勝を飾り、大会3連覇を成し遂げた。
青学大の優勝は順当との見方がある中で、駅伝ファンを驚かせたのが、オープン参加の関東学生連合の選手による「幻の区間賞」。学連の記録は公式ではない「参考記録」にしかならないため、ネット上には「個人の区間賞あげて~!」といった声もあがった。
青学大、8区の下田選手が好走 後続と5分以上の差
「打倒・青学大」を掲げた前回(16年)2位の東洋大学が2位、古豪・早稲田大学(前回4位)は3位だった。また、4位には順天堂大学(前回6位)が入り、5位には予選会5位(前回13位)から躍進した神奈川大学が入った。前回3位で優勝候補の一角と目されていた駒澤大学は9位に沈んだ。
青学大は大会3連覇と、出雲駅伝(2016年10月10日)、全日本大学駅伝(16年11月6日)に続く3冠の偉業を達成した。3冠と3連覇の同時達成は箱根駅伝史上初めて。また、往路と復路の完全優勝での大会3連覇は、戦後初めてという。
1月2日の往路では、青学大は2位の早大とわずか33秒差で総合優勝が危ぶまれたが、翌3日の復路6区の山下りで小野田勇次選手(2年)が早大との差を広げた。7区の田村和希選手(3年)が体調不良もあって区間11位で再び差を詰められたが、8区の下田裕太選手(3年)が区間賞の好走で後続と5分以上の差をつける快走。東京・大手町のフィニッシュ地点では、早大を抜いて2位に浮上した東洋大に7分21秒の大差で逃げ切った。
青学大は3区で秋山雄飛選手(4年)が、大学の先輩で「山の神」と称えられた神野大地さんに「湘南の神」と言わしめる快走をみせてトップに立つと、その後は1度も1位を明け渡すことがなく、青学大の強さが際立った。
一方、シード権争いは、往路で10位の日本大学から14位の拓殖大学まで計5校が41秒以内にひしめく厳しい戦いになった。往路15位から巻き返した東海大学が11時間16分31秒で10位に滑り込み、11位の帝京大学(11時間20分24秒)以下を退けた。
初のシード入りを目指した往路8位の上武大学と9位の創価大学は、それぞれ15位、12位に失速。往路10位の日大は、19位と大きく後退した。また、総合5位に入った神奈川大学は12年ぶり、法政大学は4年ぶりにシード権を獲得した。
10区で幻の区間賞「個人の区間賞あげて~!」
終わってみれば、過去に優勝経験や好成績を残している大学が、きっちりとシード権を獲得した2017年の箱根駅伝だが、そうした中でキラリと光ったのが、オープン参加の関東学生連合だ。
関東学生連合は、予選会で惜しくも敗退した中央大学や東京農業大学、城西大学といった16人のランナーが集まるオープン参加のため、走破タイムも「参考記録」でしかない。だが、その10区(23.0キロメートル)を走った東京国際大学の照井明人選手(4年)が1時間10分58秒の快走を見せ、区間賞を獲得した順天堂大学の作田直也選手(4年)の1時間11分00秒を上回った。
いわば、「幻の区間賞」というわけだ。
17年箱根駅伝の予選会で、東京国際大学は10時間25分29秒で15位。その中で照井選手は1時間29秒で学内トップ(個人総合成績で27位)だった。初出場した2016年は、3区を走り13位だった。
照井選手の「幻の区間賞」に、ツイッターには、
「東京国際大学の照井くん、ナイスラン!」
「カッコよかったです。熱い走りは次の世代に残りますよ」
「個人の区間賞あげて~!」
「これくらいは表彰してあげてもいいと思うんですが... 学連選抜ではないから無理なんでしょうね。」
「素晴らしい! とても感動した!!」
「10区のタイムがお見事... OP参加なので参考記録だが確実に記憶に残る走りをしたと 思います!」
と、称賛の声が寄せられている。
ちなみに、関東学生連合の過去の最高成績は2008年の第84回大会の4位(相当、当時は関東学生選抜)。このときの監督が現在の青学大の原晋監督(49)だった。