韓国の国政に不正に介入したとして逮捕・起訴された崔順実(チェ・スンシル)被告(61)の娘、チョン・ユラ容疑者(20)が2017年1月2日(日本時間)、滞在先のデンマークで現地警察に拘束された。聯合ニュースなど韓国メディアが韓国警察庁の話として伝えた。
チョン容疑者をめぐっては、名門・梨花(イファ)女子大学校に不正入学したことを確認したとする調査結果を韓国教育省が16年11月に発表し、チェ親子を刑事告発していた。それ以外にも、在学時の不正に関与したとされる梨花女子大教授も身柄を拘束されるなど、チェ被告がからむ、いわゆる「スンシルゲート」は新たな広がりを見せている。
大学前総長についても捜査
チョン容疑者をめぐっては、スンシルゲートを調査している特別検察官(特検)の捜査チームが、不正入学で大学の業務を妨害した容疑で逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO=インターポール)に「赤手配」(国際逮捕手配)を要請していた。
「赤手配」対象の容疑者が拘束された場合、身柄は手配を要請した国に引き渡されることになっている。捜査チームは、チェ容疑者の身柄を韓国に送る調整に入る見通しだ。
チョン容疑者の在学時の不正行為にも捜査の手は及んでいる。朝鮮日報によると、捜査チームは16年12月31日、ドイツ滞在中で授業に出ないチェ容疑者の代わりに試験の答案を書くように助教に指示したとして、梨花女子大学デジタルメディア学部教授の柳哲鈞(リュ・チョルギュン)容疑者(50)を緊急逮捕した。証拠隠滅のリスクを踏まえた「緊急逮捕」だったが、1月1日になって改めて逮捕令状を請求した。
柳容疑者は「李仁和(イ・インファ)」というペンネームの小説家としても知られ、大統領直属の諮問機関「文化隆盛委員会」の委員もあった。柳容疑者は、教育省が不正入学に関する調査結果を発表した際、捜査を要請していた人物だ。同省は崔京姫(チェ・ギョンヒ)前総長についても捜査を依頼しており、さらに影響は広がりそうだ。
梨花女子大は12月、チョン容疑者を退学させ、入学自体も取り消すことを決めている。韓国メディアによると、朴槿恵(パク・クネ)大統領は1月1日の記者懇談会で、チェ容疑者について「古い知人であるだけ」だと述べ、チェ容疑者が国政に介入したとの見方を否定した。