カジノは本当に健全なのか 「カモ」にされた記者体験談

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   IR(統合型リゾート施設)推進法の可決・成立を受けて、政府は2017年から、具体的な制度設計などを進めていく方針だ。賛否両論を呼んだ審議の中、賛成派が繰り返したのは、カジノは極めて「健全」だ、ということだった。たとえば、「現代社会においては、カジノは健全・安全かつ公平・公正な空間として、いわゆる犯罪とか、そういうものとは無縁の世界となっているのが現実ではないか」(12月12日、参議院内閣委員会で、参考人として出席した美原融・大阪商業大学総合経営学部教授)といった発言だ。

   数年前にアジアの某国に誕生した大型IR施設で一度だけカジノを経験したJ-CASTニュースの記者が、そのバカラ体験を報告する。

  • 2017年はカジノ「解禁」へ向けた動きが、本格化する見込みだ
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「普通」の人たちが一晩に50万円は使う

   高級ホテルやショッピングモール、コンベンションセンターなどが一体となったその巨大な施設は、手持ちのデジカメを目いっぱい広角にしても、なかなか画面に入りきらなかったことをよく覚えている。その規模といい、著名人を招いた豪華な開業式典といい、まさに推進派がお手本とする、高級リゾートとしての「IR」だった。

   とはいえ、一番の売りはやはりカジノだ。

   オープン前には、建物を取り囲むほどの行列ができていた。客の多くは、中華系のアジア人だった。近隣の地域から、飛行機や船ではるばるやってくるのだという。それも、いわゆる富裕層、という雰囲気ではない。シャツにジャージの「普通」の男女だ。実直そうな老夫婦の姿も見える。そんな彼らが、早口に談笑しながら、平然と1枚5000円、1万円(当時の日本円レート。以下同じ)といったチップを場に投じていく。

「彼らは一晩に50万円くらいは平気で使いますよ。それも大金持ちというわけではない、『普通』の人たちがです」

   現地の事情に詳しいある日本人は、こともなげに語った。

   ゲームはスロット、ルーレットといろいろあるが、一番人気はトランプを使った「バカラ」だ。「バンカー」と「プレーヤー」、どちらかにチップを賭けて、自分が選んだ側の手札が勝てば儲け、負ければ没収。ほとんど丁半博打に近い。

   テーブルごとに、1度に賭ける「最低額」は決まっている。一番安い卓で3000円、高い卓なら3万円。1回の勝負はほんの2、3分だ。どんなに安い卓でも、10分も遊べば1万円以上が動く。

   さらに奥の方には、「VIPルーム」がある。そこでは、これよりはるかに大きな金額が動くという。もちろん、一般客は立ち入ることはできない。

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