経産省がのめり込む 英国への「お土産付」原発輸出

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政府が後ろ盾となって資金回収リスクまで関わる

   そこで期待がかかるのが海外輸出だが、福島事故の影響が影を落としている。2016年11月には、「建設・運営まで含めたオールジャパンによる成功例」(経産省幹部)だったベトナムでの建設計画について、ベトナム政府が「中止」を決めてしまった。ベトナム政府は中止の理由を「資金難」としており、それはその通りではあるが、関係者の間では「住民の環境意識の高まりがじわりと影響した」との指摘が聞かれる。トルコで三菱重工業、リトアニアで日立が建設を受注しながらも住民の反対などで具体的な進展がないなか、ベトナムの案件は「官民一体となった新興国輸出のモデル」と位置づけてきただけに、「中止」に対する関係者の衝撃は大きかった。

   こうした流れを受け、経産省が期待を寄せるのが英国案件というわけだ。英国側も政権交代で外交戦略に変化が生じたという事情がある。キャメロン前政権は南東部に先進国として初めて中国製原子炉を導入しようとしたが、メイ現政権は中国への警戒心を解かず、いったん許認可を見送った。日本勢に建設をゆだねることで中国依存度を抑える狙いがあるとみられている。

   ただ、日本側のリスクは大きい。そもそも売る側なのになぜ買う資金を用立てするのか、この点が異例だ。マンションを買うのに住宅ローンを借りるとして、それは買う人が自分の信用力を背景に銀行から借りるのであって、売る側の不動産業者にお金を借りることはないだろう。政府が後ろ盾となって資金回収リスクまで関わるとはただごとではない。むろん事故のリスクもあれば、自由化の進む英国ゆえに、つくった電力が購入されないリスクすらある。

   そんな不安を抱えながら経産省が遮二無二突き進むのは、「経産省優遇の安倍政権が続いているためだ」と他省庁から怨嗟とも冷笑ともつかない声が漏れる。

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