福島第1原発事故の影響
これに対し、読売、産経、日経の3紙は核燃サイクルの堅持では共通するが、ニュアンスには差がある。
日経(12月23日)は「安全に稼働させるメドが立たない以上、廃炉は当然だ」「もんじゅがなぜ失敗したのか、徹底した検証が不可欠だ」、産経(12月22日)も「(廃炉は)妥当な判断である。もっと言えば、見切りをつけるのが遅きに失した感さえある」「前代未聞の頓挫を招いた原因の徹底検証が不可欠だ」と、廃炉を当然とし、検証の必要を説く点で朝日や毎日と一致。
そのうえで、日経は「高速炉はウランを有効活用できる可能性があり、その選択肢をいま放棄するのは得策でない」と、研究の必要は訴えつつ、「プルトニウムを燃やすだけの炉を研究するのも選択肢だろう」としている。日経は9月24日の社説で「プルサーマル計画の着実な推進が不可欠になる」と書いていて、プルサーマル優先の立場といえる。
産経は高速実証炉について「日本の将来のエネルギー安全保障を確かなものとする方向」だとして支持している。
実は、もんじゅ廃炉についての各紙の論調も、3.11福島第1原発事故の大きな影響を受けた。核燃推進の日経が、2012年4月2日の社説で「核燃サイクルの実現を急ぐ必要は弱まった」として、「設計が古く故障続き」のもんじゅ廃炉に踏み込んでいる。もろ手を挙げてもんじゅを支持していた産経も、2013年5月16日の主張で「もんじゅ存続に国民の理解を得るのは難しい状況に追い込まれた」と、事実上、廃炉やむなしに舵を切っていた。