そばといえば中華そばを指す
「年越しラーメン」が定着していると言えそうなのが、岐阜県高山市だ。市文化財課担当者は取材に対し、
「終戦直後のころ、高山で屋台を引きながら中華そばを売って回った人がおり、食料不足の時代ということもあって飛騨高山地域で広まったと聞いたことがあります。現在でも、年越しに中華そばを食べる人は多いと思います」
と答えた。また、地元のスーパーマーケット「ファミリーストアさとう」のウェブサイトを見ると、年末に「飛騨の年越しらーめんセット」を販売している。
高山市内にあるラーメン店店員は取材に対し、「高山では普通『そば』と言えば『中華そば』を指します。年越しも中華そばを食べるので、大みそかの市内のラーメン店はどこも混み合うと思いますよ」。市民にとって身近だから年越しに中華そばを食べるとし、「意味や縁起は、全国の『年越しそば』と同じだと思います」と話していた。
「年越しそば」を食べるようになった由来は諸説あるが、日本麺類業団体連合会が運営するウェブサイト「麺類雑学辞典」によると、(1)そばは細く長く伸びるため、健康と長寿命を願う、(2)そばは切れやすいため、一年の苦労・厄災を断ち切って新年を迎える、(3)金箔を扱う細工師は飛び散った金粉を集めるのに練ったそば粉を使うことから、そばは金運を高める縁起がある――といった説が有力だ。江戸時代に普及したという。次は21世紀の世から、年越しラーメンの習慣が広がるだろうか。