外国為替特別会計の運用益を全額一般会計へ
2017年度の税収は16年度の見込み額をベースに、17年度の政府の成長率見通しなどを勘案して弾く。16年度の税収落ち込みで、17年度の政府経済見通しで名目2.5%と高めの成長を見込んでも、当初予算同士を比べて17年度の税収を16年度よりプラスにするのは難しいとみられていた。ところが、出来上がりは16年度当初比1080億円増の57兆7120億円となった。わずかながら税収をプラスにした「マジック」の素が、トランプ氏当選後の円安・株高、特に円安で、企業業績の回復で法人税が持ち直すとともに、春闘の賃上げ効果で個人の所得税も伸びる――というシナリオを目いっぱい盛り込んで数字を弾いたというわけだ。
次に、国債だが、2017年度の新規国債の発行額は34兆3698億円と、16年度当初よりなんとか622億円の減額になった。アベノミクスが始まってから最も少ないが、これとて、税収増に加え、利払い費の減で帳尻を合わせたもの。金利が上がって利払いが増える事態に備え、国債の「想定金利」は高めに設定するが、17年度は、16年度から0.5ポイントも低い1.1%としたことより、国債の元利返済に充てる「国債費」を約5000億円抑制する効果があった。もちろん、長期国債の金利を0%前後に操作するという日銀の金融政策の「支え」があればこそだ。
さらに、税収、国債の利払い費減だけでは、歳出増に追いつかないということで、「その他収入」の外国為替特別会計に目を付けた。ここから運用益2.5兆円を全額、一般会計に繰り入れたもので、通常は7割程度とされ、全額は異例。まさに奥の手と言える。