湯船にゆったり浸かる風呂が好きな日本人には、いまひとつ人気がないサウナ。以前からダイエット効果が期待できるとされてきたが、最近、サウナに頻繁に入ると認知症の予防につながるという研究がまとまった。
この驚きの報告を発表したのは東フィンランド大学の研究チームだ。英オックスフォード大学の老年学専門誌「Age and Ageing」(電子版)の2016年12月7日号に発表した。
週に4~7回入るとアルツハイマー病が65%減だが
研究を報道した科学ニュースサイト「Science Daily」(12月16日付)と医療ニュースサイト「Medical Express」(同)によると、研究チームは42~60歳の健康な男性2315人を対象に、サウナに入浴する頻度と認知症の発症リスクの関係を約20年間に追跡調査した。 対象者を、(1)1週間に1回以下しかサウナに入らない人(2)1週間に2~3回入る人(3)1週間に4~7回入る人、の3つのグループに分け発症リスクを比較した。調査期間中に204人が認知障害、123人がアルツハイマー病と診断された。その結果、次のことが明らかになった。
(1)週4~7回のサウナ浴の人は、週1回以下の人に比べ、認知障害になるリスクは66%低く、アルツハイマー病になるリスクは65%低かった。
(2)週2~3回のサウナ浴の人は、週1回以下の人に比べ、認知障害になるリスクは22%低く、アルツハイマー病になるリスクは20%低かった。
つまり、サウナに入る回数が多い人ほど認知症になりにくいというわけだ。研究チームでは「サウナ入浴と記憶疾患とを結びつけるメカニズムがあることが確認できたが、その解明にはさらなる研究が必要である」とコメントしている。ただ、「Science Daily」の取材に対し、研究リーダーのヤリ・ロッカネン博士はこう語っている。
「これまでの研究では、頻繁にサウナに入ると、血流がよくなり、心臓突然死のリスクやほかの冠状動脈疾患の危険性を下げることが明らかになっています。同様に、サウナはまだ知られていないメカニズムによって、心臓血管の健康と脳によい影響を与えるのかもしれません。また、サウナ入浴中に経験する幸福感やリラクゼーションが重要な役割を果たしているのかもしれません」