原発事故による「風評被害」が続く福島県産の農水産物の販売促進のため、農林水産省は2017年度の予算案に、福島産食品を対象にした「ポイントキャンペーン」事業などを実施するための予算47億円を計上した。
消費者に福島産食品を購入してもらうための施策なのだが、現地の一部の生産者のなかには、「県産食品だけを差別化するようなポイント制度の導入が、逆に『イメージダウン』に繋がるのではないか」といった不安の声をもらす人もいる。ネットでも同様の指摘が投稿されている。
「福島県産」の特設販売コーナーを設置
2011年の東日本大震災による原発事故の発生以降、福島県が力を入れ続けているのが「食の安全確保」に関する取り組みだ。県公式サイトによれば、出荷・流通する農水産物や加工食品の放射性物質検査は16年度の4月から11月末までについては、全478品目で1万5884件を実施。その上で、検査で国の基準値を超過した品目は「市場流通していません」としている。
一方、消費者庁が16年10月に結果を発表した意識調査によれば、「福島県産の食品購入をためらう」と答えた人は16.6%(1047人中)。2月の前回調査よりも0.9ポイント増加した。大震災から5年が経った今もなお、福島産の農水産物への風評被害は消えていない。
こうした状況を改善するため、農水省は17年度の予算案で、福島産食品への風評被害対策を行う事業費として47億円を計上した。地元農家の支援や流通状況の実態調査など、総生産から販売まで総合的な支援を行う予定だ。
この風評対策事業の1つとして注目を集めているのが、福島産食品限定の「ポイントキャンペーン」だ。農水省食品流通課の担当者は16年12月22日、現時点で想定している事業内容について、
「首都圏などの量販店やオンラインストアに福島産の食品だけを取り扱う特設販売コーナーを設置し、そこで商品を購入した際に、何らかの『ポイント』を利用者に付与します。そのポイントで別の商品を購入できたり、プレゼントに応募できたりするようにして、販売促進を狙うものです」
とJ-CASTニュースの取材に説明する。具体的な事業内容については「まだ検討段階」だが、今回のキャンペーンについては「福島県からの要望を踏まえたもの」とも話した。