こたつは日本の冬の風物詩――。そう思っている日本人は多そうだが、日本から遠く離れたイランやアフガニスタン、トルコ、スペインにも「こたつ」があることは案外知られていない。
布をかけたテーブルに熱気を閉じ込め、その中で暖まるという文化は世界中に存在する。イランでは、「こたつみかん」のように果物を乗せるのだそうだ。
もっぱら「ザクロ」を載せる
東京から7000キロ以上離れたイラン。首都の緯度が日本とほぼ同じこの国の家には、「コルシ」という名の「こたつ」がある。
電熱器がはめ込まれたテーブルの上に色鮮やかな布をかけ、熱気を閉じ込める。冬になるとそこに家族が足を入れ、暖を取る。
ネット上では、コルシらしきものを囲んで食事を楽しむ人々の写真も数多く公開されている。まるで、こたつに入りながら鍋をつつく日本人の家族のようだ。2016年も冬に入ってから、コルシを写真つきで紹介する日本語ツイートが複数出回るなど、一定の関心を集めている。
また、「こたつみかん」のようにコルシの上に果物を乗せることもあるらしい。イラン出身のタレント、サヘル・ローズさんは14年2月7日放送のバラエティ番組「ネプ&イモトの世界番付」(日本テレビ系、すでに放送終了)で、コルシの話題に触れた際、もっぱらザクロを載せると話していた。
隣国アフガニスタンにも、こたつに似た「サンダリ」という暖房器具がある。アフガニスタンに駐在中だという日本のNGO職員の男性が、サンダリの使い方を09年のブログに書いている。
手足を暖めながら「今日の出来事やら、近所の人の話、知り合いのおっさんの失敗談やら」を話したり、入ったまま寝ると「次の日喉が痛くなったり、風邪をひいたり」。熱源は床に開いた穴で燃やした炭だそうで、外観はこたつとそっくりだ。
また、トルコにも「キュルス」、スペインにも「ブラセロ」と呼ばれる、同じような暖房器具がある。
16年11月のツイッターでは、日本では見かけない、イランのコタツグッズなどを紹介するつぶやきもあり、異国の「冬の風物詩」に思いを馳せているようだった。