鳥インフル、動物園の全殺処分はないのか 「徹底防疫」養鶏場との差

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動物園には適用されない家畜伝染病予防法

   かつて農水省の家きん疾病小委員会の委員長を務めていた喜田教授は、日本に79年ぶりに養鶏場に鳥インフルエンザウイルスが出現した04年に、農場内の全ての鶏を処分する摘発淘汰という防疫対策を頑なに守った。その後も、全鶏舎の殺処分の方針を貫いているのが日本だ。初動の遅れから、2500万羽の家きんが殺処分されるなど全国に広がっている韓国とは対照的だ。

   一方、今回の鳥インフルエンザで心配なのは、動物園の鳥への感染だ。名古屋市の東山動物園では、コクチョウなど十数羽の感染が確認されている。秋田の大森山動物園でもコクチョウとシロフクロウの感染があり、両園とも閉鎖に追い込まれている。

   希少動物も含まれる動物園ですべて鳥を殺処分するとなれば大変なことになる。

   動物園には、養鶏場の場合に殺処分を定めた家畜伝染病予防法が適用されないのだ。管轄も農水省ではなく環境省となる。喜田教授は、「飼育の現場の状態にもよるが、動物園では鳥の密集もないし、外への移動も基本的にはないので、殺処分までは必要ないのではないか」との見解だ。

   これに対し、京都産業大の鳥インフルエンザ研究センターの大槻公一センター長は、基本的には同じ考えだが、「後々のことを考えると、殺処分もひとつの選択肢ではある。希少動物もいるので簡単ではないが」と話す。

   周辺の野鳥が動物園の鳥舎に入り込んで感染する恐れもある。自然界に生きる野鳥は養鶏場のように密集した環境ではないが、渡り鳥のピークを迎える年明けから、全国の動物園に感染が広がった場合、環境省がどう対応するか。その方針は、まだ見えていない。

(ジャーナリスト 辰濃哲郎)

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