子宮頸(けい)がんワクチンを接種した女性から体の痛みや歩行障害などの副作用が疑われる報告が相次いだ問題で、厚生労働省は2016年12月26日、接種歴がなくても副作用と同様の症状を持つ女性が一定数みられた、とする研究班による全国調査の結果を公表した。
子宮頸がんワクチンは健康被害の訴えが相次いだことなどから13年に「接種推奨」が中止された。厚労省は、全国の小児科や神経科など約1万8000科に対して、15年7月から12月にかけて痛みや運動障害などの症状が3か月以上持続し、通学などに影響があった12~18歳の患者の有無を調べた。
その結果、症状を発症した患者のうち子宮頸がんワクチンを接種していない人の割合は10万人あたり20.4人だったと推計された。接種後に症状を訴えた人は10万人あたり27.8人だった。研究班は調査結果を受けて「(この調査で)ワクチン接種と接種後に生じた症状との因果関係は言及できない」とする見解を示した。
ワクチン接種後の健康被害などを理由に国と製薬会社に賠償を求め集団提訴した女性らの弁護団は、調査結果について、症状の判定基準が「きわめて不適切」で、
「副反応患者と同様の症状を有する患者を正しく把握できない」
などと批判するコメントをウェブサイトで公開した。