大規模火災に見舞われた新潟県糸魚川市への「ふるさと納税」が急増している。
2016年12月22日10時30分ごろに糸魚川市大町1丁目の、1軒の中華料理店で発生した火災は同日21時ごろに「鎮圧」、翌23日16時30分に、糸魚川市がようやく「鎮火」を発表。住宅など約150棟、約4万平方メートルを焼損する、大きな被害を出した。急増する「ふるさと納税」は、災害義援金として活用されることになる。
対策本部「復旧・復興に役立たせていただきます」
「糸魚川市駅北大火」は、住宅など156棟、約4万平方メートルに燃え広がり、過去20年で最悪の火災被害になった。強風の影響で、火が飛び火して被害が拡大した。
この大火で、糸魚川市は市内3か所の避難所を設け、周辺の363世帯744人に避難勧告を出していたが、避難した住民が自宅の様子を確認できるようになったのは、2016年12月24日9時のこと(正午までの一時的な規制解除)。ほぼ2日間にわたり、住民らは不安な時間を過ごした。
24日午後、ようやく避難勧告をすべて解除し、被災者らに限り自由な立ち入りを認めたほか、25日午前には、糸魚川市が「被災証明書」の発行申請の受け付けを開始した。同時に公営住宅や借り上げ民間アパートなどへの入居相談も始めた。
そうしたなか、糸魚川市への「ふるさと納税」が急増している。米田徹市長が24日16時の記者会見で明らかにしたところによると、火災が発生した22日の正午から24日16時までに、572件で合計約1100万円に上る申し出があった。
米田市長は記者会見で、「『頑張れ』という応援だと感じている」と、謝意を表した。糸魚川市対策本部は12月25日のJ‐CASTニュースの取材に、「皆さまからの寄附金(ふるさと納税)は、大火で被災された方々の支援と、復旧・復興に役立たせていただきます」と話した。
休日返上の復旧作業
糸魚川市のふるさと納税は、「ふるさと糸魚川応援寄附金(ふるさと納税)のご案内」としてホームページなどで呼びかけてきたが、22日の大火で、現在はふるさと納税を活用した、いわば「義援金」として受け付けている。市によると、2015年度の「ふるさと納税」では1096件、約4100万円を集めた。
また、すでに一部で現金などによって集まりつつある災害義援金についても、12月26日から、銀行振込による災害義援金の受け付けを開始できるよう、銀行口座の開設などの準備を進めている。
25日から受け付けを始めた被災証明書は火災保険などの請求時に必要となる。糸魚川市は建物被害の調査をほぼ終えており、身分証などで被災者であることが確認できれば、その場で「全焼」「半焼」など焼損程度が記載された被災証明書を発行する。
火災により市内の約250戸で停電したが、24日夜には焼損した住宅などを除き、送電を再開。ガスも職員が開栓を始めるなど、ライフラインも復旧。また、糸魚川信用組合や第四銀行などの地元金融機関は休日返上で、書類消失や融資などに関する相談窓口の開設や、電話相談に応じている。