トヨタ自動車が、グループ全体の2017年の販売台数を、2016年見込みより1%多い1020万台とする計画をまとめた。2016年見込み(1009万台)ともども達成すれば、4年連続の「1000万台超え」となる。ただ、トヨタにとって「ドル箱」の米国では、保守主義を掲げるトランプ次期政権が発足するため、トヨタのような「外国メーカー」には先行き不透明感が強い。独フォルクスワーゲン(VW)が排ガスデータの不正操作問題を克服して復活しつつあり、「販売世界一」を維持するのは難しそうだ。
トヨタは、傘下の日野自動車とダイハツ工業を含めた翌年の生産・販売計画を年末に公表するのが慣例で、今年も12月15日に発表した。自動車部品などを納品する準備にあたる下請けメーカーや、販売の前線に立つ系列販売店などにトヨタの「腹づもり」を知らせることが大きな狙いだ。
2017年生産計画、計画通りなら過去最高を更新
「生産」にはトヨタグループの工場で生産しながらも、提携先メーカーのブランドで販売される「OEM供給」分の台数も含まれる。いわば製造業としての実力だ。逆にOEM供給を受けて自社ブランドで販売したものは販売台数に計上する。このため販売台数は「ブランド力」を映し出すとも言える。トヨタグループは例年、生産が販売より若干多い傾向にある。今回発表された生産計画は2016年見込み(1022万台)から1%増の1036万台。計画通りに実現すれば、2014年(1028万台)を超えて過去最高を更新する。
販売計画の「2017年1020万台」は、実現すれば14年(1023万台)に次ぐ過去2番目の高水準となる。内訳は国内が16年見込み比1%増の223万台、海外が同1%増の797万台。ただ、「下方修正を嫌がるトヨタ」(国内証券系アナリスト)らしく、やや固く見積もっている印象もある。例えば最近のグループ販売の足を引っ張っていた、軽自動車が主力のダイハツの国内販売。軽自動車の燃費不正問題で信頼を失った三菱自動車の「オウンゴール」や軽自動車税増税の影響の一巡でそろそろ持ち直しそうだが、16年見込み比で横ばいの57万台を見込む。とはいえ、米国で足元の乗用車販売の勢いが失速しており、全体としては「固め」「保守的」とまでは言えないかもしれない。
トヨタ本体については、世界販売は2016年見込み(916万台)比1%増の926万台を計画する。12月に発売した小型のスポーツ用多目的車(SUV)「C-HR」の受注が好調なことから、特に国内で着実な販売上積みを見込む。販売の内訳は国内が16年度見込み比2%増の160万台、海外は同1%増の767万台。国内は東日本大震災の反動があった12年以来、5年ぶりの高水準だ。