「スマホに夢中で、ガムに気付かずベトベトン」「電柱に頭をウツドン」。ゲームやアニメでおなじみの「ポケットモンスター(ポケモン)」たちがこんなダジャレのきいた言葉で、歩きながらのスマホ操作を注意するポスターが、東京都内を中心としたJR各線の駅構内に設置されている。
ポケモンの人気と、思わず目を引く標語とが相まって、駅でポスターを見つけたツイッターユーザーが、続々と写真を撮影してインターネット上にアップしている。
「自分勝手な『ながらスマホ』はみんな腹がタッツー」
「ポケモンのスマホマナー広告ありました」「色んな駅で出てる」との書き込みが、写真とともにツイッター上で出始めたのは、2016年12月中旬ごろからだ。写されたポスターの「標語」を見ると、冒頭であげた2種類に加えて「スマホに夢中になると、ヒトカゲに気付けないかも」「自分勝手な『ながらスマホ』はみんな腹がタッツー」「公共の場では特にマナーをまモルフォン」など、複数のバージョンがある。
すべてのバージョンに共通して「できてる?正しいスマホ操作」「STOP 危険な ながらスマホ」と書かれている。ツイートを見た別のユーザーからは「探しに行こう」「何種類あるのかな?」「これコンプリートしたい」と、興味を示す声が続出している。
一連のポスターを管理するポケモン(本社・東京都港区)に、J-CASTヘルスケアが取材した。同社広報担当者によると、ポスターは都内を中心としたJR東日本の50の駅構内に、12月13日から掲出されている。山手線沿いはほとんどの駅にあるといい、バリエーションは全31種類だ。同社は9月から、歩行中や運転中のスマホ操作に注意を呼びかける取り組み「ヘッズアップ151」を続けており、ポスター掲出もその一環という。
スマホとポケモンといえば、「ポケモンGO」を思い出す人が多いだろう。このゲームは起動時、「周りをよく見て、常に注意しながらプレイしてください」というメッセージが表示されるが、「ヘッズアップ151」について担当者は「当社としてはアプリ上に限らず、さまざまな場で『ながらスマホ』への啓発をするものです」としてこう続けた。
「ポケモンのスマホアプリは『ポケモンGO』以外にも複数あり、SNS上でポケモンに関する情報を発信される方も多いです。そういった点で、ポケモンとスマホは今や切っても切り離せない関係にあり、スマホの使用マナーをわが社から伝えようと、取り組みを行っております」
JR新宿駅の山手線ホームをくまなく探すと...
ダジャレを用いたのは、
「ポケモンキャラクターを使い、さらにユーモアのある目を引くメッセージを打ち出せば、より多くの方々の目に留まり、マナー向上に役立つのではないか」(広報担当者)
という思いからだ。ダジャレは別の担当者が試行錯誤してつくり出したという。
ツイッター上で相次ぐ反響には「たくさんの方々に見ていただけているので、ながらスマホの注意喚起にお役に立てているかなとは思います」。
「掲出は12月25日までで、再掲は未定」という。記者は12月22日午後に探しに行ってみたが、思いのほか見つからない。JR新宿駅の山手線ホームをくまなく探し回ること約5分、ようやく幅3メートル・高さ2メートルほどの「スマホに夢中で、ガムに気付かずベトベトン」を発見したので、立ち止まって撮影した。その後、もう5分ほどホームや通路を探索したが、「2匹目」には出会えなかった。
さらに「JR中野駅にも出した」と広報担当者は話していたので行ってみたが、10分間ほど駆け回って収穫なし。駅員に写真を見せながら「こういうポスターを見たことはありませんか」と尋ねたが、首を傾げながら「私は見覚えがないですねえ。もしかしたらどこかにあるのかもしれませんが」と苦笑いだった。ポケモンゲットは、想像以上に難しかった。