お笑い芸人の平野ノラさん(38)がケーキのティラミスだけを食べて1週間生活する――テレビ朝日系のバラエティ番組で、こんな企画が放送された。ネット上では、平野さんの挑戦を讃える声が出る一方、番組企画には疑問や批判が相次いでいる。
1週間もやしだけで生活したり、シチュー500杯を食べ切ったり...。2016年9月まで18年間放送されたテレ朝系番組「いきなり!黄金伝説。」では、芸能人たちが次々に新しい企画に挑んでいた。
重さ20キロの巨大ケーキ
それが、過酷さをパワーアップしたという「いきなり!超過酷伝説。」として復活し、初めての放送が12月18日夜にあった。
平野ノラさんが大きなケースのふたを開けると、そこには重さ20キロという巨大ティラミスが姿を現す。なんと約200個分もの量になるといい、平野さんは、1週間それだけの生活に挑むことになった。
「うん、美味しい」「品のある甘さ」。平野さんは初日、フォークでティラミスを口にするとこう讃えたが、数口食べると、「もうない」「せんべい食べたい」と愚痴をこぼすように。タイヤが付いたケースは、リヤカーのようにして運ばれ、ライブ会場では45人の客にも振る舞わられた。
自宅でも、朝夕食代わりに食べる姿が映され、2、3日経つと、平野さんは、「甘いってのがとてもつらい」とイライラし出した。「もう匂い嫌だよ」とぼやき、硬さがほしいとゼリーやアイスにもした。4日目には、右口元にニキビができたことを示し、「かなり体と精神と顔にもダメージが」と告白した。ティラミスはかなり手が付けられていたが、芸人仲間にも振る舞われ、6日目には2人が食べていた。
平野さんは、そんな生活でも、睡眠1時間半の日もあるハードスケジュールをこなし、最終日までやり遂げてしまった。
この企画の放送後には、平野さんのツイッターにファンから祝福の声が届いたが、ネット掲示板などでは、「ティラミスが腐って食中毒になるんじゃないか」「血糖値が上がって、一発で糖尿病になる可能性がある」などと炎上している。
「出演者の健康ならびに衛生面に配慮して作業」
もっとも、バラエティ番組だけに、ティラミスが冷蔵庫に入れられていたり、実際はほかのものも食べていたりするのではとの指摘も出ていた。番組内では、ティラミスに牛乳やホットケーキミックスなどを加えて別の食べ物にするシーンはあった。
日本洋菓子協会連合会では、J-CASTニュースの12月22日の取材に対し、ティラミスを1週間食べ続けた場合について事務局長がこう話した。
「生菓子ですので、各店舗ではその日のうちに召しあがるように伝えており、1週間はあまりお勧めできませんね。食べられるかもしれませんが、非衛生ではあります。今の季節はノロウィルスがはやっており、食中毒の可能性もありますので避けた方がいいです。常温のまま置いたら、ちょっとまずいでしょうね」
糖分を過剰に摂取することの影響については、生活習慣病に詳しい関係者は、次のように言う。
「健康な人なら、食べ過ぎて気持ちが悪くなり、お腹を壊したり、太ったりする程度でおさまるとは思います。糖尿病になるのは、生活習慣や家族歴が主に関係しており、ティラミスだけ1週間食べて病気になるとまでは言えないでしょう。ただ、基礎疾患があるなら、高血糖になるリスクがありますね」
テレビ朝日の広報部では22日、「番組制作に際しては、出演者の健康ならびに衛生面に配慮して作業を行っております。なお、これ以上の詳細につきましては、番組の制作過程に関わりますので、お答えは控えさせて頂きます」と取材にコメントした。