福岡県飯塚市の斉藤守史市長(68)と田中秀哲副市長(69)が平日昼間に市役所を抜け出して賭けマージャンに興じていたことが報じられ、2016年12月22日の市議会で事実関係を認めて「市に対する信頼を大きく損なわせてしまった」などと陳謝した。
ただ、2人は冒頭発言で「マージャン」としか説明しなかった。市議から「マージャンとは違う。賭けマージャンだ」と指摘され、田中副市長は「『トントン』だった」などと泥縄式の釈明に追われていた。一部では、2人のマージャン通いは以前から知られていたようだ。だが、この件についての調査を求める「陳情」が市議会に届いたことで、事態が明るみに出ることになったようだ。
賭けマージャンは平均すれば「トントン」
この問題は12月22日に西日本新聞が報じて明らかになった。一緒にマージャンをしていたメンバーには、17年4月に市施設の指定管理者となる事業者の社長も含まれていたとも指摘された。これを受けて、斉藤市長は市議会で、
「市に対する信頼を大きく損なわせてしまったことに、心よりおわび申し上げます」
と陳謝。マージャン相手については、
「市内業者が同席をしていたことについても事実でございますが、単なる昔からの旧知の知人であり、便宜供与を図ったことは一切ございません」
と釈明し、辞職については
「今後は市政に対する信頼回復に向けて、これまで以上に全力を傾けてまいりたい」
と否定的だ。田中副市長も、ほぼ同じ内容を話して陳謝した。市長と副市長は地方公務員法で規定される特別職で、勤務時間は決まっておらず、必ずしも登庁する必要はない。
ただ、斉藤市長の冒頭発言によると、陳謝したのは、
「私ならびに田中副市長が麻雀をしていたことについて、新聞報道、また、陳情が提出された」
ことに対してだ。田中副市長も自分から「賭けマージャン」だとは発言せず、川上直喜市議(共産党)から
「マージャンとは違う、賭けマージャンをしていた」
と指摘されて初めて、平均すれば「トントン」で、「ストレス解消のためだった」などと釈明する有様だった。
西日本新聞では「9月から取材を進めていた」といい、NHKは同日正午のニュースで、市長と副市長の2人が賭けマージャンの現場となった元マージャン店に出入りする16年1月の映像を放送している。かなり以前から2人が地元メディアからは「マーク」されていたことがうかがえる。市長が冒頭発言で明らかにしたように、この件に関する「陳情」があったことで、このタイミングでの報道になった可能性がある。
副市長は「仕掛けられたと思っている」
陳情は市内の男性から12月21日に提出された。田中副市長が15年11月から16年11月26日まで、市内の元マージャン店に「頻繁に出入りされている事実」を確認しているとする内容で、
「ある時は、平日の午後2時過ぎから夜の10時頃まで、ある時は、5時過ぎから10時過ぎまで滞在されております」
と指摘。この元マージャン店には、同じ時刻に元マージャン店のオーナー夫妻と、17年4月に市内の斎場の指定管理者になる会社の社長も含まれていたとして、
「特別公務員と言えども、勤務時間内に特定業者と何故に会われる用事があったのか、何をされていたのか、指定管理者の提案に関しての働きかけ有無等を、議会において調査され市民に報告して頂きますよう陳情いたします」
などと調査を求めていた。陳情には、元マージャン店に出入りする様子を収めたDVDも添付されていた。
この陳情との関係は不明だが、今回の件が発覚した経緯について、西日本新聞は
「副市長が第三者から市内の元店舗に出入りする画像を突きつけられて交渉を迫られ、飯塚署に相談していた」
と報じている。田中副市長は、西日本新聞の取材に対して
「私がいると迷惑する人がおり、仕掛けられたと思っている」
と答えている。市議会でも、田中副市長は発言は事実だと認めながらも、誰が「仕掛けた」のかや、そう考えた具体的な根拠は示さなかった。