「店員さんすげえ カニ浮いてる」――。あるツイッターユーザーが、こんなコメントを添えて投稿した1本の動画に、多くのネットユーザーが「まんまと騙される」という珍しい騒動があった。
話題の動画は、スーパーの鮮魚コーナーとみられる場所で、若い男性店員が「カニを浮遊させる」手品を披露する内容だ。この動画にネット上は「どこのスーパー!?」「店員は何者だ」などと大騒ぎとなったが、実はこれ、鳥取県が企画した「ジョーク動画」だった。
「動画の内容はあくまでフィクションです」
鳥取県が2016年12月18日に公開した「カニ浮遊動画」。県の特産品のカニをアピールするために、地元出身の映像監督・森翔太さんが制作したジョーク動画だ。
その内容は、スーパーの男性店員に扮したプロのマジシャンが、売り物のカニを「手品」で浮かせる様子をおさめたもの。動画をプロデュースした制作会社「inbloom(インブルーム)」の田中洋展(ひろのぶ)さん(33)はJ-CASTニュースの21日の取材に、
「動画の内容はあくまでフィクションです。実際にマジシャンを起用して撮影したのは事実ですが、現実にはこんなパフォーマンスをしているスーパーはありません」
と話す。
だが、こうしたジョーク動画をめぐって、インターネット上には、
「実在するスーパーの店員が、カニを浮かせるパフォーマンスを実際に店頭で行った」
と「勘違い」するユーザーが続出している。実際、ツイッターやネット掲示板には、
「これ、どこのスーパー!?」
「いい宣伝になっとる」
「こういうのは少し時給に加算してあげてもいい」
などと、すっかり信じ切った様子の書き込みが数多く出ている。
いったいなぜ、プロの映像監督が制作したジョーク動画を、「現実」だと信じ込むユーザーが続出したのか。その理由は、動画がネット上で拡散した経緯にあった。