「お茶」という主張に反論できなくなった
では、勾留中に採尿しなかったのはなぜなのか。徳原弁護士は「いくつか考えられます」とした上で、
「覚醒剤は1~2週間で抜けます。そのため、再検査しようとしたタイミングで捜査機関が手遅れだと判断した可能性があります。もしくは、再検査したけれど結局出なかった。または、警察としては『逮捕時の証拠』があればいいので、そもそも再検査する予定がなかったということもあり得ます」
と解説。再び採尿を求めること自体は可能だというが、「羞恥心を伴う採尿は、人権を侵害するような側面があることも事実。昨今、警察に対する監視の目が厳しい中、任意とはいえ『目の前で出せ』とは言いにくいところがある」(徳原弁護士)という。
逮捕後、ASKAさんの自宅や宿泊ホテルからは物的証拠は見つからず、供述証拠もないため、尿鑑定結果は唯一の証明材料だった。徳原弁護士は、
「警察としては、『お茶』という主張に反論しなければならないけれど、1回目の液体はなくなってしまったので再鑑定はできない。尿を採取した時の映像もおそらくなかったのでしょう。そのため、限りなくクロに近いグレーですが、ASKAさんの言い分が通ってしまい、泣く泣く不起訴にせざるを得なかったのではないでしょうか」
と事情を推察した。
ちなみに、ASKAさんは勾留期限の19日の夜になって釈放された。徳原弁護士はこのタイミングについて「釈放となった場合は遅くても午後一番くらいに出てくる。夜中に釈放されたということは、検察庁としてもギリギリまで。『何とかして起訴はできないか』と悩みに悩んだ結果なんだと思います」と語った。
なお、ASKAさんは20日に更新したブログで「尿を出してしまったら終わりだ。必ず、陽性にされてしまう」と考えて、お茶にすり替えたと告白している。通常のお茶からは覚醒剤成分が検出されることはまずないが、ASKAさんは「実は、陽性になったのには、ひとつの理由があるのです科捜研に間違いはないと思います。ただ、まだ語ることなできない理由があります」とし、お茶が陽性になった「理由」があることを示唆している。