なぜセルヒオ・ラモスに2枚目のイエローカードが出されなかったのか。レアル・マドリードと鹿島アントラーズによるFIFAクラブワールドカップ2016決勝は4対2のレアル優勝で幕を閉じたが、2対2で迎えた後半45分、ラモスの金崎夢生に対するファールへの審判の判定をめぐって議論が起きた。中継した日本テレビの番組ゲスト・明石家さんまさんは試合後、「MVPはレフェリー」と言った。
さんまさんは冗談めかしていたが、同点の後半終了間際に1人退場するか否かのファールとあり、その後の延長戦に影響を及ぼしかねない場面。サッカージャーナリストで審判とコーチのライセンスを持つ石井紘人氏は、J-CASTニュースの取材に対し、「イエローが出てもおかしくないファールではあったが...」などと分析を語った。
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決勝は2016年12月18日に行われた。後半45分、鹿島の柴崎岳が自陣ペナルティアーク付近から金崎に縦パスを送ると、金崎は後ろ向きでボールを受けながらターンして前を向こうとした。この瞬間、金崎の背中にチャージを仕掛けたのがラモスだ。ザンビア人のジャニー・シカズ主審は笛を吹き、左胸のポケットからカードを取り出すような動きを見せた。さらに、レアル陣地に向かって手招きするジェスチャーを取った。
ラモスはこの試合すでに1枚イエローカードを受けており、もう1枚で退場処分となる。しかし、シカズ主審はポケットに約15秒間手を当てた末、カードを出さなかった。鹿島ボールで試合再開の笛が吹かれるまで、試合は約1分間中断された。
サッカーの審判に関する記事を配信するウェブサイト「石井紘人のフットボールレフェリージャーナル」も運営する石井氏は、この場面について「主審はラモスのファールをしっかりと見切ることができていなかったのではないか」としてこう分析する。
「誰がファールしたかを確認するため、(主審を支援する役割を持つ)第4審と連絡を取っていたと思われます。録画を見返しましたが、第4審の方を見て喋っていましたね」
確かに主審は、パスの出し手・柴崎と受け手・金崎のちょうど中間におり、ラモスのファールを振り向きざまに見る形となっていた。