在日米軍は2016年12月19日午後、沖縄県名護市沖に不時着・大破した影響で停止されていた垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイの運航を再開した。事故が起きたのは13日夜。元々のオスプレイに対する懸念に加え、在沖米軍トップが記者会見で「逆ギレ」(沖縄タイムス)したとの批判も高まる中、事故から1週間も経たないうちの運航再開だ。
そんな中で、「イメージ回復作戦」の一環なのか。在日米海兵隊はソーシャルメディアで、沖縄県民との良好な関係を強調する書き込みを続けている。そのフェイスブックに対しては、米軍に共感するコメントが多く寄せられているものの、ツイッターには「本国にお帰りください!」といった批判の声も多い。
地元紙は「逆ギレ」報道も
地元感情にとって「火に油」の形となったのは、在沖米軍のトップにあたるローレンス・ニコルソン中将の発言だ。事故翌日の12月14日、沖縄県の安慶田(あげだ)光男副知事が、米軍キャンプ瑞慶覧(沖縄県北中城村など)を訪れ、事故への抗議文を読み上げた。安慶田氏が報道陣に明かしたところによると、ニコルソン中将は抗議に対して
「感謝されるべきで表彰もの」
などと反論し、安慶田氏がオスプレイの撤去を求めると
「政治問題化するのか」などと激高してテーブルをたたく場面もあったという。同日午後の記者会見でも、ニコルソン中将は怒気を込めた様子で
「今回の件は遺憾だが、偉大な若いパイロットの行動については遺憾だとは思わない」
「彼の行動は県民や海兵隊員の命を救った。みんな誇りに思うべきだ」
と発言したという。これを「逆ギレ」と報じるメディア(16日付沖縄タイムスなど)も出た。
在日米海兵隊はFBやツイッターでニコルソン中将の会見動画や、ウェブサイトに掲載した会見記事へのリンクを紹介していた。12月18日未明には、
「いち読者が、新聞報道などに見るニコルソン中将の写真に悪意を感じてしまい、皆さんに見て欲しいと投稿してきた、中将と沖縄の少年との写真です。少年との写真に見れる(原文ママ)中将の姿は愛情がいっぱいで、素晴らしい笑顔です」
として、ニコルソン中将が笑顔で少年と写っている写真が掲載された。FBとツイッターには同じ内容が投稿されたが、両者に寄せられた反応は、かなり傾向が異なるものになった。
FBには好意的意見、ツイッターでは批判的なものが多い
FBの書き込みは4000人以上が「いいね!」や「超いいね!」をつけたのに対して、「悲しいね」「ひどいね」と評価した人は1ケタだった。100件以上寄せられたコメントの内容も、大半が
「本当ですね、素晴らしい笑顔です」
などと米軍側に理解を示すものだった。
一方、ツイッターの書き込みは7000回以上リツイート(転送)された。書き込みに寄せられた声には、
「ニコルソン中将は正しい判断と行動をなさいました。日本国民として感謝申し上げます!」
といったものもあるが、
「本国にお帰りください!全てのオスプレイと共に」
などと批判的なものも多く、スターリンやヒトラーが笑顔で子どもと接する写真を投稿し、独裁者とニコルソン中将を並列する形で皮肉る声も相次いだ。
ツイッターの反応には
「ニコルソンはこの少年の笑顔を消し去ったんだろうな」
といったものもあり、在日海兵隊のアカウントが
「1000%それはないです」
と反論する一幕もあった。
海兵隊のカウントはそれ以降も、海兵隊関係者が児童養護施設や障がい者支援施設のクリスマスイベントに参加する様子を投稿しており、地域貢献の側面を引き続きアピールしている。