17万人の子どもの調査で関連性を調べると...
今回、研究をまとめたのは米国最大の医療団体「カイザー・パーマネント」の研究チームだ。米医師会誌「JAMA Pediatrics(小児科学)」(電子版)の2016年11月28日号に発表した。論文によると、研究チームは同団体の病院で、2000年~2010年に生まれた子ども19万6929人とその母親を対象に、自閉症の発症と妊婦のインフル感染、および予防ワクチンの接種との関連を調べた。
合計3101人の子どもが自閉症と診断された(全体の1.6%)。また、約1400人の母親が妊娠中にインフルとみられる感染症にかかった(0.7%)。そして、4万5231人の母親が妊娠中にワクチンを接種した(23.0%)。
その結果、母親がインフルに感染、またはワクチンを接種した子どもと、そうでない子どもの自閉症の発症リスクを比較すると、何ら関連性は見つからなかった。妊娠第2期(13~28週)と第3期(29週以降)に母親がワクチンを接種したことも関連がなかった。ただ、妊娠第1期(12週以前)でワクチンを接種すると、自閉症リスクが若干高まったが、ほかのリスク要因と調整し分析し直すと、統計的に意味がなくなった。偶然の可能性が高いという。
今回の結果について、研究チームのアウセニー・ゼルボ医師は、論文の中で「米国予防接種諮問委員会(ACIP)は、妊婦の妊娠週数にかかわらず、インフルエンザの予防ワクチンを接種することが望ましいと勧めています。私たちの研究はこの提言を変えるものではありません」とコメントしている。