「子育て支援」「災害対策」などの公的な観点から
こうした動きに背中を押されたか、安倍晋三内閣が、女性の社会進出促進一環で、液体ミルクに目を付けた。菅義偉・官房長官は10月17日の記者会見で、液体ミルクの解禁について「今後検討が行われる」と表明。具体的な検討の舞台は内閣府の「男児共同参画会議」の専門調査会で、11月14日に、関係省庁や業界団体の「日本乳業協会」などから意見を聞いた。
この場で、厚生労働省は前向きな考えを表明。国内流通のためには同省が食品衛生法に基づく省令を見直し、液体ミルクの規格を定める必要があるが、「薬事・食品衛生審議会で議論し、検討を前向きに進めたい」と表明。「開封すると急速に微生物が増殖し、当然ながら食中毒が懸念される」とも述べ、同協会に保存試験などのデータの提供を求めていると説明した。
一方、乳業協会は、メーカーも製造試験に取り組んでいることを明らかにした。ただ、液体ミルクは時間の経過とともにミネラル成分が沈殿したり、ミルクが変色したりしやすいことから、「生活者に許容されるのかどうか」と、迷いを見せた。
価格的にも、粉ミルクの5倍程度になるとの見方もあり、実際に流通するまでには数年かかるといわれる。「子育て支援」「災害対策」といった公的な観点から、開発から備蓄まで、国や自治体の支援も必要なようだ。