「一人勝ちは永続的なトレンドにはなりにくい傾向」
今回の米国の「利上げ」の背景には、トランプ次期大統領が法人減税や規制緩和、積極的なインフラ投資などの景気浮揚策を打ち出したことで、株価や金利が上昇したこと、つまり「トランプ相場」が利上げを後押しする材料となったともみられている。
そもそも、最近の急激な円安は、2016年11月8日の米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が、民主党のヒラリー・クリントン氏を破って勝利したときからはじまった。「トランプ氏優勢」が伝わると、東京外国為替市場は米大統領選の開票中のわずか2時間で3円以上も急騰。1ドル101円台を付けたことは、まだ記憶に新しいはず。
この時点と比べると、12月15日のドル円相場はなんと16円もの急落。米大統領選以降のこの1か月でも、円はドルに対して12円超も下落した。
前出の外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は、「これはもう、円の暴落と言っていいと思いますよ」と話す。
神田氏によると、2015年のドル円相場は1年で10円の値幅で動いただけ。「それを足下のわずか1か月で1.5倍も動いたんですから。2000年以降、ここまでのスピードで動いたケースはありません」と指摘する。
ただ、神田氏は「ドル円でみると『円の暴落』ですが、現状は円安というよりも、『ドル暴騰』といったほうが正しい。ドルの一人勝ちです」ともいう。
たしかに、12月15日の東京外国為替市場で、ユーロは円に対して上昇したが、その値幅はわずか。17時時点では1ユーロ123円31~33銭で、前日(122円45~46銭)比86銭ほどのユーロ高・円安で推移している。
一方、ユーロはドルに対して大幅に下落。1ユーロ1.0481~0482ドル(前日1.0649~0650ドル)だった。英ポンド・米ドルやニュージーランドドル・米ドルなどの相場をみても、やや緩んではきたものの、ドル高基調が強いという。
神田氏は「これは経験則ではありますが、一人勝ちは永続的なトレンドにはなりにくい傾向にあります。半年から1年も続くというのは違和感がありますし、どこかのタイミングで調整が入りそうです」と話す。
米トランプ次期政権への失望リスクなどが高まれば、ドルが暴落する恐れも。「反動はある」とみている。