「病は気から」というが、人生に目的を持って明るく生きる女性は、さまざまな病気で死亡するリスクが少なく、長生きすることが最新研究でわかった。
ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームが米の疫学専門誌「American Journal of Epidemiology」(電子版)の2016年10月28日号に発表した。それによると、楽観的な人は悲観的な人に比べ、すべての病気で早死にするリスクが約30%も減るという。
「楽観的な人」は死亡率が心臓病38%、脳卒中39%も低い
論文によると、研究チームは、2004~2012年にかけて米国看護師健康調査に登録されている約7万人の女性の健康データを分析した。この調査では2年ごとに参加者にアンケート用紙を送付し、病気の情報を追跡するとともに日頃の生活態度を聞き、「人生に目的を持っているか」「幸福だと思うか」などの心理・性格テストも行っている。
そして、人種や経済状態、病状、飲酒・喫煙、生活習慣など死亡リスクに関係するさまざまな要素を考慮したうえで、性格と死亡リスクの関連を調べた。女性たちの性格を「最も楽観的な人」から「最も悲観的な人」まで4つのグループに分け病気による死亡率を調べると、次の結果が出た。
(1)「最も楽観的な人」は「最も悲観的な人」に比べ、すべての病気や事故で死亡するリスク(全死亡率)は29%低い。
(2)同じく、がんで死亡するリスクは16%、心臓病は38%、脳卒中は39%、肺炎などの呼吸器疾患は38%、インフルエンザなどの感染症は52%低い。
従来の研究では、楽観的な性格の人は心臓病で死亡するリスクが少ないという報告はあるが、すべての病気で長生きするという研究は初めてだという。
この結果について、研究チームのエリック・キム博士は論文の中で「これまで医療や公衆衛生の取り組みのほとんどは、病気のリスク要因を減らすことに重点をおいてきました。私たちの研究は、『前向きに、明るく生きる』という心理面で回復力を高めることが、病気予防につながる証拠です。健康運動の1つとして、楽観主義を促進する努力をすべきだと考えています」と語っている。
「笑う門に福来たる」という諺もある。クヨクヨしないで明るく生きよう。