買うのをためらう投資家
医薬品株に、さらに値下がり圧力をかけたのが、政府が2016年12月7日に開いた経済財政諮問会議。ここで「原則2年に1度」となっている薬価の改定を「毎年行う方向」とする考えを打ち出したことがある。抗がん剤の「オプジーボ」の価格が半額になることを踏まえて、諮問会議では医薬品市場の実勢価格の変化などに応じて「全品」を対象に「毎年」改定するよう、提言が示されたが、結論は12月下旬まで持ち越されている。
薬価が下がれば、患者やその家族にとってはうれしいが、製薬会社などは売り上げが落ちる懸念がある。これが株価急落の、直接の原因とみられる。
再生医療の関連株に投資する、ある個人投資家は、「新薬の開発コストの回収が遅れたり、赤字になったりするリスクが高まるので、買うのをためらう投資家は少なくないと思う」と話す。
ただ、SMBC日興証券株式調査部のシニアアナリスト、中澤安弘氏は「医薬品株は伸びるトレンドにあります」という。高齢化社会の進展で、医療技術や医薬品の開発、創薬は成長が見込める有望な市場にあるというわけだ。
この1年を振り返ると、もともと超低金利の局面で、医薬品株や食品株などは買われていた。それが最近の1か月は「トランプ相場」でドル高円安が強まり、さらに原油高もあって金融株などが値上がりの中心にある。そうした中での「薬価改定」で、「(伸びていこうとする)頭を抑えられていました」と話す。
中澤氏は12月13日のJ‐CASTニュースの取材に、「(この日は薬価改定の対象が)全面改定から、(改定の対象となる医薬品を限定する)部分改定に見直されるとの報道で、リスクがやや遠のいたと判断されて、『買い』が入ってきました」とも話した。