ASKA車内映像、フジが最初に入手できた事情 9時間半タクシーに乗り続けて...

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   ASKA容疑者(58)のタクシー車内映像がテレビで流れたきっかけは、フジテレビによる執拗な交渉の結果だったことをタクシーグループの無線協同組合がJ-CASTニュースの取材に明らかにした。車内映像の放送については批判が巻き起こり、タクシー無線協組側が謝罪している。フジテレビは、「事実関係が異なる部分がある」などとコメントしている。

   逮捕直前のASKA容疑者が映った車内映像は、2016年11月29~30日に民放キー局各局の情報番組などで次々に流された。マスコミが集まった自宅前で自分を降ろすやり方などを運転手と話すといった内容だった。

  • タクシーも安心して乗れない?(写真はイメージ)
    タクシーも安心して乗れない?(写真はイメージ)
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タクシー無線協組の理事会でも経緯報告

   チェッカーキャブ無線協同組合などによると、12月9日にあった理事会でグループの1社がドライブレコーダーの映像をテレビ各局に提供した経緯について報告があった。

   この報告では、11月28日18時半ごろにタクシーがASKA容疑者を降ろした後、フジテレビが車のナンバーなどをもとに30分後にこのタクシーの配車を予約したと指摘した。14分後にタクシーが到着すると、フジ側は、運転手への取材を始めた。その後は、9時間半にわたって現場取材や社員送迎などでタクシーを使い続けたという。

   フジは、翌29日早朝5時近くまでタクシーを使い回していたことになる。その理由についてははっきりしないが、無線協組では、「ドライブレコーダーの映像をほかの局も狙っていましたので、車を確保していたのではないか」と推測する。乗車料金は5、6万円はいっていたという。運転手は、長時間の拘束で疲れてしまい、「もう関わりたくない」と話していたともいう。

   そして、フジのタクシー利用が終わった1時間後には、フジの報道局の記者らが運転手所属の会社にドライブレコーダーの映像提供を求めた。これに対し、会社側は、個人情報であり、容疑者の段階で提供するのは難しいと話したが、フジテレビ側は、ASKA容疑者は執行猶予中の身であり、社会的に必要な情報だと粘った。何かがあったときは、責任を負うことも明らかにしたという。

フジ「正当な取材活動の範囲内で、公共性・公益性がある」

   タクシー会社では、映像を確認していないことを理由にいったんフジに引き取ってもらったが、その後に役員らが協議し、フジ側に映像を提供することにした。ASKA容疑者に逮捕歴があることや、運転手にまた負担がかかることを考えてのことだとしている。

   実際、この運転手から情報を得ようと、フジ以外の複数局から取材の申し込みが相次ぎ、民放各局が続々とASKA容疑者の車内映像を流した。こうした経緯については、タクシー業界紙の東京交通新聞も、12月12日付記事で詳しく報じている。

   ドライブレコーダーの映像については、覚せい剤事件との関連は薄く、ネット上などでプライバシーの侵害ではないかとその提供や報道に批判が高まった。その後、チェッカーキャブ側が11月30日、警察からの照会などに限って行うべきだったとして、ホームページ上で謝罪した。また、国交省も12月1日、映像提供は遺憾だとして、業界団体に適切に管理するよう通知を出している。

   フジテレビ系番組でも、タレントの坂上忍さん(49)や松本人志さん(53)が映像使用に疑問や批判を口にしているが、無線協組理事会での報告が事実なら、フジそのものが真っ先に映像に飛びついていたという皮肉な形になる。

   フジテレビの企業広報部では14日、J-CASTニュースの取材に対し、「ご質問いただいた内容につきましては、事実関係が異なる部分がございます」とコメントした。それはどの部分かについては、「取材・制作の詳細についてはお答えしておりません」として明かさなかった。しかし、「正当な取材活動の範囲内で、ご指摘の映像を入手しております。容疑者の逮捕直前の映像であり、公共性・公益性があると判断し放送いたしました」と説明している。

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