ノンスタ井上事故「ひき逃げ」ではないのか けが2週間でマスコミは「当て逃げ」

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   当て逃げではなく、「ひき逃げ」では――。お笑いコンビ「NON STYLE」の井上裕介さん(36)が2016年12月11日夜に起こした交通事故をめぐり、こんな指摘が相次いでいる。

   大部分のメディアが「当て逃げ」と報じている井上さんの事故。だが、ツイッターなどでは「人身事故の場合はひき逃げにあたるのでは?」という疑問が浮上している。そこでJ-CASTニュースは今回、交通事故の案件に詳しい弁護士に見解を聞いた。

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「救護義務」が発生したかどうか

   所属事務所「よしもとクリエィティブ・エージェンシー」の発表によれば、井上さんは11日夜に東京・世田谷区の路上を車で走行中、前を走っているタクシーと接触事故を起こした。井上さんは「接触したかもしれない」と認識していたが、事実確認をせずそのまま帰宅。報道によれば、タクシーの運転手は首や腰に全治2週間のけがを負った。

   この事故については、第一報を打ったNHKをはじめ、ほぼ全てのメディアが「当て逃げ」と報じている。だが、相手の運転手がけがを負ったとの報道が出ていることから、ツイッターやネット掲示板には、

「物損じゃなくて相手が怪我してる人身事故だから、ひき逃げ扱いの筈だぞ」
   「人身事故なんだから当て逃げじゃなくてひき逃げじゃないの?」
   「当て逃げってのは物損事故。相手が怪我してたら人身事故なのに」

といった声が噴出。そのほか、メディアの「当て逃げ」という報道が「誤り」だと指摘する声も数多く出ていた。

   実際のところ、「ひき逃げ」と「当て逃げ」の定義はどうなっているのか。J-CASTニュースは14日、交通事故の案件に詳しい稲葉元澤法律事務所の稲葉治久弁護士に詳しい話を聞いた。稲葉弁護士によれば、ひき逃げは、

「車両等の運行中に交通事故(人身事故)を起こし、道路交通法第72条に定められた必要な措置を講じる事なく現場から逃走する行為」

を指すという。その一方で、当て逃げは「物損事故及び救護義務が発生しない交通事故で現場から逃走すること」だという。

弁護士の見解も分かれる

   では、今回の井上さんの事故は「ひき逃げ」と「当て逃げ」のどちらに当たるのか。稲葉弁護士は、事故状況について直接確認できていないため、あくまで「報道されている状況」を受けての見解になると前置きした上で、

「今回(の事故)は救護義務まで発生していたとは思われないため、当て逃げに該当するものと考えます」

とした。当て逃げの場合は一般的に、「1年以下の懲役または10万以下の罰金」が科される可能性があるという。

   とはいえ、井上さんの事故への見解は弁護士によって異なるようだ。14日放送の情報番組「バイキング」(フジテレビ系)に出演した徳原聖雨(せいう)弁護士は、

「今回は『当て逃げ』との報道がされていますけど、相手がけがをしているので、今後は『ひき逃げ』という形で扱われる」

との見方を示している。

同乗「スーパーマラドーナ」武智の責任は?

   なお、14日にJ-CASTニュースの取材に応じた所属事務所担当者によれば、井上さんが事故時に運転していた車には、お笑いコンビ「スーパーマラドーナ」の武智(たけち)さん(38)が同乗していた。同コンビは漫才師の日本一を決める「M-1グランプリ2016」(12月4日開催)で3位に輝いたばかり。

   スポーツニッポン電子版などの報道によれば、武智さんは事故について、

「(事故当時は)音がして違和感を覚えたが、被害者から呼び止められもせず、大丈夫と思った」

などと周囲に話しているという。

   先述の稲葉弁護士によれば、道交法では、運転手だけではなく同乗者にも「必要な措置を講じる事を要求」しているという。それを怠った場合には、こちらも、

「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」

が科される可能性があるという。

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