有名芸能人の名前と、「外国人である」「整形している」「ヤクザと関係ある」といったその芸能人の噂を掛け合わせ、根拠のわからない記事を流してしまうサイトがある。
「人工知能」(AI)も使っているというこのサイト。一体何を目的としているのか。
「疑惑・噂を網羅的にチェック」と標榜
「Killy」というこのサイトは、プレスリリースによると、16年6月23日にオープン。「芸能ゴシップデータベース」を標榜し、「芸能人・有名人の疑惑・噂を『網羅的に』チェック出来る」ことをウリにしているようだ。
一般人の口コミデータも解析し、「『整形していると思われている』『ヤクザと付き合いがあると思われている』、『不倫していると疑われている』などの、事実ではない噂レベルの話題」について数値化しているという。
使い道に関しては、「整形疑惑・暴力団との付き合いなど、タレント用データベースやウィキなどには掲載されないような踏み込んだ情報・疑念まで把握」できるため、「芸能人・有名人のアサイン前にそのアサインのリスクを査定する定性的・定量的データとして活用することが出来ます」と説明されている。
サイトを見てみると、毎日のようにテレビで顔を見る芸能人から、知名度の低い芸能人まで幅広くカバーされており、それらのすべてに「整形している!?」「外国人である!?」「不倫している!?」「ゲイ!?」「死亡した!?」「新興宗教信者である!?」といった類の言葉がかかっている。
「wikipediaのページを確認したところ...」
その中の1つをクリックすると、「●●●●(以後、伏字は編集部)と『ゲイ』って、たしかテレビとかで報道されていたような...気のせいかしら」との書き出しで始まる文章が表示された。
「●●●●と『ゲイ』について調べてみます。多分色んな記事が見つかる気がするので、あなたもちゃんと真偽を見極めてみてください」
と続き、
「●●●●についてのwikipediaのページを確認したところ、ゲイに関する記載はありませんでした」
と報告がある。
次に、「●●●●とゲイの関係を各メディアの記事から調べました」として、●●●●とゲイの関係を憶測で書いた「Yahoo!知恵袋」や「NAVERまとめ」の記事が引用表示される。
最後に、「当サイトの人工知能の分析した、●●●●とゲイの関連度・注目度」として、「話題度」「関心度」がパーセンテージで示され、この噂の感想を聞くアンケート欄が表示される。なお、「話題度」「関心度」という指標は何をもとに計測されているのか不明だ。
他の芸能人、キーワードで試してみても、こういった極めて類似した文章が出てくる。「不倫」「外国人」「整形」の根拠も不明な記事だ。
根拠不明な情報を掲載することについて、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士は、
「『●●は病気である』『●●は不倫している』『●●はヤクザと関係ある』などの記事は人の社会的評価を下げるおそれがありますし、公益を図る目的で記事にしているわけでもないと思われるため、名誉棄損罪が成立する可能性は十分にあります」
と指摘する。また、民事事件としての名誉棄損も成立し、「損害賠償責任を負う可能性はあります」とした。
加えて、仮にAIで記事を自動生成していたとしても「掲載元の責任は免れないでしょう」という。
「掲載元は人工知能に対し、社会的評価を下げるおそれのある記事を含む幅広い記事を集めて無条件に自動配信するよう指示しているわけですから、意図的に名誉棄損にあたる記事を配信していることに変わりはありません」
こうした記事を作成し、配信する目的は何なのか。J-CASTニュースは「Killy」運営元のすゞや(東京都新宿区)に、12月12日12時ごろから取材を申し込んでいるが、13日18時までに返答はない。