手入れの時の皮膚の傷から病原菌が侵入する
対象者は、脱毛の有無やどのくらいの頻度で行なっているか、性行動の習慣、性感染症にかかったことがあるかなどを調査した。その結果、女性の84%、男性の66%(全体では74%)が「脱毛したことがある」と回答した。脱毛の頻度を「毎月1回以上、すべて脱毛する人」を「極端グループ」、「毎日~週に1回、ヘアを手入れする人」を「高頻度グループ」に分類した。脱毛する人の17%が「極端」に、また22%が「高頻度」に分類され、両方合わせた人が10%いた。
こうした人々と性感染症のリスクを分析すると、次のことがわかった。
(1)全体の統計をとると、脱毛しない人に比べ、「極端」な人が性感染症になるリスクは約4倍、「高頻度」の人は約3.5倍に上昇した。
(2)脱毛をする人は若い人に多く、性行動が活発である傾向があった。そこで、それらの要因を調整し分析し直した。しかし、それでも脱毛する人は、しない人に比べ、性感染症になるリスクが約80%高かった。
(3)その代わり、脱毛する人の利点は、デリケートゾーンが猛烈にかゆくなるケジラミ症に発症するリスクが、脱毛しない人に比べ低くなることだ。
今回の結果について、米国性感染症協会会長のデニス・フォーテンベリー医師は、「HealthDay News」の取材に対し、「脱毛する時に生じる皮膚の小さな傷から病原菌やウイルスが侵入しやすくなるためではないか」と語っている。また、研究チームのオスターブ助教授は「頻繁に脱毛処理する人ほど性行為の数が多く、パートナーの数も多いため、性感染症に感染する危険性が高まると考えられます」と説明している。