カジノ合法化を見据えた「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)の成立が目前となる中、国内のギャンブル依存患者の大半を占めるという「パチンコ依存症」の問題に注目が集まっている。
法案に反対する野党やマスメディアからは、カジノ解禁による依存患者数の増加を懸念する声が相次いでいる。だが、ギャンブル依存症の問題に詳しい専門家は、「今は存在しないカジノに反対して、パチンコの問題に目を向けないのはおかしい」と指摘する。
「まだ存在しないカジノよりも、パチンコ問題に今すぐ着手を」
カジノ法案は2016年12月6日の衆院本会議で、自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決。現在は参院で審議中だが、14日まで開かれる今国会中で自民党などが成立を目指している。そんなカジノ法案の反対意見として目立つのが、
「ギャンブル依存症患者が増加するのでは」
という懸念だ。
確かに、厚生労働省の調査結果によれば、ギャンブル依存症の患者は国内におよそ536万人いるとの推計が出ている。これは成人人口(当時)の約4.8%(男性8.8%、女性1.8%)にのぼる割合で、先進国の中では突出した数字となっている。
こうした数字だけ見れば、カジノ法案によって国内に賭博施設が増えることで、ギャンブル依存症の増加を危惧するのは当然とも言えそうだ。しかし、NPO法人「ギャンブル依存を考える会」の田中紀子代表(52)は12日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「ギャンブル依存症の患者が増えるからカジノ法案に反対するというのは、おかしいです」
と否定する。田中代表によれば、国内のギャンブル依存患者の8割近くを「パチンコ依存症」が占めるという。
「まだ存在しないカジノで依存症患者が増えることを心配するよりも、パチンコの問題に今すぐ着手すべきでしょう。それを無かったことにして、カジノだけに反対するのは一方的ですよ」