オプジーボ「薬価」に加算されたもの 超高額薬が生まれる仕組み

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正確には抗がん剤ではない

   ただ、オプジーボには誤解も多いようだ。

   がん患者会「生きがい療法ユニオン」の機関誌が、80人の患者に使った今村貴樹・千葉ポートメディカルクリニック院長の講演を掲載している。今村さんによると、オプジーボは、正確には「抗がん剤」ではなく「免疫チェックポイント阻害剤」で、がんで免疫機能が落ちた人の免疫を回復する薬。抗がん剤のような副作用はない。 3週に1回、計4回の注射で有効な人に8回注射すると免疫が長期にわたって改善する。

   また、進行がん患者の半分にはまったく効果がなく、半分に有効で、さらにその半分には大変な効果がある。よく効くのは、肺、卵巣、乳、胃、食道がん。多くは半年の治療で十分で、効かない人に 1年、あるいはそれ以上治療する意味がなく、1年分の薬代といった表現や計算は、現実的には不適切だ。

   それでも、米国の薬は、実際は薬価の半分程度で流通しており、英国の公的機関は他の薬との比較から「まだ高い」と、オプジーボの薬価を半値にするよう企業に交渉中だ。17年2月以降は保険支出、税負担は年間で何千億円も減る見込みとはいえ、日本のオプジーボはまだまだ世界的にかけ離れた高額を維持することになる。

   会計検査院は、政府の15年度決算で 1兆2000億円にむだ遣いを指摘しているが、薬価や診療報酬点数が厚労省の一存で決まる現在の制度の適否も含めて、根本的な議論や改革が必要ではないだろうか。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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