産卵期の東シナ海、異常な低水温
不漁の原因について、北海道区水産研究所は、「スルメイカが生まれる東シナ海の海水温が異常に低いことがあります」と話す。スルメイカは12~3月に産卵期を迎える。幼生は1ミリメートルほど。適正な海水温は18~23度ほどだが、この時期の東シナ海の海水温が「2015年はかなり低かった。そのため、ふ化したスルメイカが死んでしまった可能性が高い」とみている。
また、秋季発生系群のスルメイカについては、「日本海側でも、夏の海水温の上昇は著しく、暑すぎて死んでしまったことが考えられます」と、日本海区水産研究所は話す。
一般に、「海水温は陸より1か月遅れで暑くなります。9月の海水温が高かったことが影響しているのではないか」という。ただ、資源評価会議でも「精査してみないとわからない」とされ、断定できないとしている。
じつは、スルメイカは2006年にも記録的な不漁に見舞われた。このときも夏季発生系群の落ち込みがひどかったが、今回と同様に「産卵期に東シナ海の海水温が低かったことが原因でした」と、北海道区水産研究所はいう。
「半減」の事態が続くとなると、鮮魚も加工食品も消費者の口に入らなくなるばかりか、ますます価格が高騰する可能性がある。料理店やレストランなどでも、日本人がよく食べる食材だけに、打撃は小さくない。
このまま不漁が続くのだろうか――。2016年12月5日のJ‐CASTニュースの取材に、北海道区水産研究所は「(2017年については、産卵期が)2~3か月先のことなので、そのときにならないと...」と、言葉を濁す。
専門家ですら、予測が立てられない状況のようだ。