市場調査の矢野経済研究所が2016年12月7日に発表した「オタク市場に関する調査」の、15年度の「オタク」一人あたりの年間平均消費金額に、違和感を覚える人がインターネットの掲示板などに相次いで声を寄せている。
調査は16年8~10月にかけて、アニメや同人誌、フィギュア、鉄道模型、アイドル、プロレス、コスプレ衣装、メイド喫茶やコンセプトカフェ、オンラインゲーム、ボーイズラブ、ミリタリー関連商品などを取り扱う事業者や業界団体を対象に調査したほか、インターネットによる消費者アンケートも実施した。
消費額が最も多いのは「アイドルオタク」
矢野経済研究所の「オタク市場に関する調査 2016」によると、調査でいう「オタク市場」とは、一定数のコアユーザーを有するとみられ、「オタクの聖地」である秋葉原などで取り扱われることが比較的多いコンテンツや物販、サービスなどの市場を指す。
同人誌やプラモデル、フィギュア、アイドル、AV(アダルトビデオ・DVD)、恋愛ゲーム、ボーカロイドなどの15の分野に市場を分け、国内事業者らの小売金額や出荷金額、ユーザー消費金額をベースに算出している。
それによると、2015年度のアイドル市場は1550億円で、前年度の1186億円から30.7%も増えて大きく広がった。「ジャニーズ」や「AKB48」グループのコアなファンが市場を支え、さらに拡大しているうえ、複数の新しいアイドルグループの台頭で市場が広がっていると指摘する。
ほかにも、恋愛ゲーム市場が前年度比6.6%増の146億円、ミリタリー(トイガン・サバイバルゲーム)市場が4.2%増の150億円、ボーイズラブ市場が3.8%増の220億円、鉄道模型市場が3.3%増の95億円。同人誌市場(775億円)とプロレス市場(124億円)がそれぞれ2.4%伸ばすなど、軒並み好調に推移した。
前年度から減ったのは、アダルトゲーム市場(3.1%減の185億円)とAV市場(1.6%減の504億円)だけだった。
一方、「アイドルオタク」は一人あたりの年間平均消費金額も、すべてのオタク市場の中で最も高かった。「アイドルオタク」の一人あたり年間消費額は7万9783円で、前年度の7万4225円から5558円もアップしてダントツ。消費金額が最も少なかったボーカロイド(8950円)の約9倍に上った。
ところがインターネットでは、この「アイドルオタク」の消費金額が「少ないのではないか」と、物議を醸しているのだ。
「ライブの交通費や宿泊費入れると、もっと多額になるはず」
インターネットの掲示板などには「オタク」らしき人から、
「絶対少ないだろう。へたすりゃ1か月じゃん?」
「やっぱ1ケタ違う気がする」
「甘いな年間8万で済むわけないだろ フッ」
「本物のオタじゃないヤツがまぎれ込んでいる」
「ライブの交通費や宿泊費入れると、もっと多額になるはず」
「やはり現実と乖離してると思うんだよな。アイドルオタクの定義の問題かもな」
などと、「もっと使っている」との声が相次いでいる。
なかには、
「コスプレとかって、結構かかるけど。これも少ない気がする」
といった声も。
その半面、
「平均だろ。そんなもんじゃね。それに握手券ほしさにCD買うのも減ったんじゃねえの」
「分野が細かく分かれているからだろ」
といった声もある。
矢野経済研究所によると、一人あたりの年間平均消費金額は、消費者アンケートに答え、「オタク」との認識があった1884人に聞いている。このうち、「アイドルオタク」は225人だった。「アイドルオタク」が、コンサートのチケット代やCD・DVD、写真集や関連グッズ、ファンクラブの会費などの、消費金額ベースで算出したという。
つまり、ネットの声にあるように、コンサート会場までの交通費や宿泊費などを含めると、もっと多くの消費金額になるとみられる。
インターネットに寄せられた声について、J-CASTニュースが2016年12月9日、矢野経済研究所に話を聞いたところ、同研究所は「こちらから申し上げることはありません」と回答した。