【ガッテン!】(NHK)2016年11月30日放送
「ウイルス&細菌を撃退!『口内フローラ』新健康術SP」
口の中は、実は細菌だらけ。見た目は少々気味が悪いが、悪いウイルスや病原菌を口の中から追い出す重要な役目を担うものが多い。反対に「悪玉菌」と称されるものもいる。
善玉と悪玉の割合は、9対1が平常だ。このバランスが崩れると、脳梗塞や心筋梗塞、認知症につながる恐れがあるというから大変だ
口の中にいるはずの菌がなぜ...
健康な人の口内には通常、およそ500種類・1000億個の細菌がいる。赤ちゃんも、歯が生える頃には同じ数になるそうだ。
近年では、口内細菌と病気の関係について研究が進んでいる。大阪大学歯学部・天野敦雄教授は、摘出した大動脈瘤を検査したところ、悪玉菌の「ジンジバリス菌」を発見した。歯周病菌の一種だ。口の中にいるはずなのに、なぜ血管に入り込んでいたのか。
実はジンジバリス菌は、認知症や脳梗塞患者の脳、心筋梗塞の人の心臓、肝炎を起こした人の肝臓、がんの場所、関節リウマチの関節からも見つかっている。なぜ菌が病気を引き起こすかは解明されていないが、かなりの数の病気にかかわっているというのだ。
ゲストのタレント麻木久仁子さんは6年前に軽い脳梗塞を患った。だが医師の診断は「原因不明」だったと明かした。
麻木さん「もしかして、ジンジバリス?」
口内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて、悪玉である歯周病菌がどんどん増えていったら、体内を巡っていくようになるのか。番組では1人の男性が「1週間歯を磨かない」という強烈な実験に挑戦した。口内細菌のバランスを、あえて崩そうというのだ。口の中が不衛生になれば当然、歯周病菌は増える。
1週間後、男性の血液を採取・培養した。もし口内の歯周病菌が血液中から見つかれば、男性の体内に入っていることになる。東京歯科大・石原和幸教授が分析すると、悪玉菌が半分ぐらいまで増えたものの、幸い歯周病菌は血液の中にはなかった。
実は、歯周病菌が増えただけでは血管には入らない。全身を巡るには、あるきっかけが必要なのだ。
寝る前の「緑茶うがい」がお勧め
ジンジバリス菌は空気が嫌いで、歯のすき間などに隠れ、歯ぐきを侵食して歯周ポケットをつくる。歯ぐきの根元には血管が通っているが、そこに穴をあけて中に入る。こうしてジンジバリス菌が血液に乗って全身に回っていくのだ。
日本大学特任教授・落合邦康氏は、歯周病菌が増えているサインとして(1)歯ぐきが腫れる、(2)毎回歯ブラシで出血、(3)急に口が臭くなった、(4)口がよく乾燥する、の4点を挙げた。だ液には口内環境を正常に保つ働きがあり、分泌量が減ると悪玉菌が繁殖しやすくなる。
予防には歯みがきが大前提だが、それだけでは歯周病菌を取り除けない。歯間ブラシや糸ようじを使って少なくとも週に1度は歯の掃除をするのが大切だ。半年から1年に1度は、歯科で検診を受けよう。
落合教授が提案するのは「緑茶うがい」だ。粉末にした緑茶をスプーン山盛り1杯、100ミリリットルの水またはぬるま湯に溶かしてうがいをする。相当濃いが、飲んでも構わない。カテキンの抗菌効果が悪玉菌の繁殖を抑えるのだ。落合教授は、就寝前に歯を磨いた後でのうがいを勧める。
麻木さん「夜なら、ちょっと歯が緑でも(笑)」
落合教授「緑茶のカテキンは、歯に着色することはほとんどありません」