読売は明確に評価
こうした期限を切った踏み込んだ内容は、小泉氏とも示し合わせたもので、党のPTでも同様の案をまとめる方向だった。しかし、職員削減への危機感を強めたJA全農が猛反撃に出て、自民党の農林族も同調し、二階俊博幹事長が調整に乗り出し、期限や金融部門半減などの目標が姿を消した。代わりに、JA全農の自主的な組織改革として数値目標を記した年次計画を作り、農林水産省がチェックすることで折り合ったのが、今回の改革方針だ。
こうした「迷走」に、全国紙は方針決定に前後して社説(産経は主張)で取り上げたが、改革の方向性が必要とする点では、各紙一致する。「農家による農家のための組織」(日経12月1日)という原点に立ち返って進めろということだ。
ただ、規制改革会議の「急進的な改革案」から期限などが消え、最終的に「後退」した形だが、その評価は違いが出ている。
安倍政権支持の論調が目立つ読売は、自民党の議論がまとまった段階で「政府の規制改革推進会議の提言を大筋で取り入れており、妥当な内容だ」(11月26日)と、5紙の中で唯一、明快に今回の改革方針を評価する論調を掲げた。
日経は決まった改革の中身の説明が中心で、生乳流通改革を「酪農家が自由に出荷先を選べるようにするのは当然といえる」と評価、金融事業について「現状は、農協本来の姿と大きくかけ離れている。是正に向けた努力が必要だ」と苦言を呈した程度で、「原点に農協は立ち戻り、農業支援にこそ注力すべきだ。全農の改革がその試金石になる」と、改革を見守る姿勢。