産経はボロクソに批判 農協改革、新聞社説の評判

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   安倍晋三政権が、農家の所得向上のための農業改革方針を打ち出した。2016年11月29日にあった「農林水産業・地域の活力創造本部」会議で決め、「農林水産業・地域の活力創造プラン」に盛り込んだ。資材価格の引き下げや流通効率化に向け法整備をすることなどが柱で、2017年の国会に関連法案を提出する。ただ、焦点である全国農業協同組合連合会(JA全農)の改革については自主的な取り組みを求めるにとどめるなど、改革の後退を指摘する声が強い。

   安倍政権の農業改革は、2014年5月、政府の規制改革会議が全国農業協同組合中央会(JA全中)を頂点とした中央会制度の廃止などを提言したことに始まる。15年8月、JA全中の監査・指導権限の廃止やJA全農の株式会社化を可能とする改正農協法が成立。同年10月のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉合意を受け、11月に「TPP関連政策大綱」を決定。その後、具体的な改革のプログラムを規制改革推進会議と自民党「農林水産業の骨太方針づくりに向けたプロジェクトチーム(PT)」が二人三脚で検討してきた。

  • 安倍晋三首相(2016年8月3日撮影)
    安倍晋三首相(2016年8月3日撮影)
  • 安倍晋三首相(2016年8月3日撮影)

「購買」「販売」両方から論議

   この過程で注目ポイントの一つだった生乳の流通改革については、酪農家が自由に出荷先を選べるようにするため、指定団体の農協以外に販売しても一定の条件で補給金が交付されるように改革することで決着。

   最後まで残ったJA全農の改革では、事業の両輪である「購買」、つまり資機材を農家に販売するのと、「販売」つまり農家からの農産物の買い上げの両方に論議が及んだ。

   購買事業では、肥料が品質に大差がないのに2000種類もあって価格は韓国より2~3倍にもなり、ホームセンターより割高な実例も明らかになった。トラクターなどの農機具も概して高かった。協同組合として独禁法の適用を除外され、資材販売で高い市場占有率を維持してきたが、共同でまとめて買うことで安く調達するという理念はいつの間にか薄れ、独占的地位に胡坐をかき、経営効率化を怠ったということだ。

   販売事業は、基本的に農家が価格変動リスクを負う仕組みになっていて、JA全農は手数料を上乗せしているだけと指摘された。

   議論の舞台となった自民党PTは、委員長を務める小泉進次郎・農林部会長の発信力でJA全農の問題点を強烈にアピール。これに呼応する形で、政府側では規制改革推進会議の作業部会が16年11月11日に提言をまとめた。主な柱は、(1)資材の購買事業の1年以内の縮小、(2)農産物の委託販売を1年以内に廃止し、全量買い取り販売に転換――などで、地域農協の金融事業についても意味が薄れているとして、3年以内に半減することも打ち出しており、かなり「急進的」といえる内容だ。

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