深い睡眠には「酒粕」、血圧を下げるには「米麹」
2016年3月15日放送のテレビ朝日「林修の今でしょ!講座 話題の甘酒のスゴイ力を学ぼう講座」では、甘酒の健康効果を様々な面から紹介している。番組ではまず、原料が酒粕と米麹の2種類の甘酒の違いをこう説明した。
(1)酒粕の甘酒:日本酒を作る際に絞った残りかすが酒粕。安く手に入るがアルコールが含まれるため、酒に弱い人や子どもが飲む時は注意が必要。
(2)米麹の甘酒:お米に麹という菌を混ぜて作ったものが米麹。アルコールは含まれていない。作るのに手間がかかるので高価。
この2つは、それぞれ次のように健康効果が違う。
【睡眠の質が向上】
杏林大学の古賀良彦教授が、良質の睡眠のために勧めるのが酒粕の甘酒だ。酒粕には清酒酵母が豊富に含まれている。清酒酵母には、深い眠りを誘う脳内物質の「アデノシン」を活性化させる働きがあるという。
「清酒酵母を摂(と)ると、質の良い睡眠が10~20%増えるという研究があります。清酒酵母は日本酒にも多少入っていますが、絞りかすに多く残るため、深く眠りたい人は、甘酒を飲むのが最適ということになります」
寝る1~2時間前にコップ1杯(200cc)を目安に飲むといいそうだ。
【血圧を下げる】
東京女子医科大学の市原淳弘教授が、血圧の高い人に勧めるのが、米麹の甘酒だ。「ペプチド」という血圧の上昇を抑える成分が米麹に含まれている。
「ただし、甘酒を飲んだら急に血圧が下がるわけではありません。個人差がありますが。効果が出てくるのは早い人で3か月、遅い人で半年かかります。高血圧は様々な原因が混ざり合うので、甘酒ばかり飲んで完治を期待するのは難しい。甘酒1杯は65キロカロリーありますから、飲み過ぎも禁物です」
そこで、甘酒にショウガをプラスすることを勧めるのが、「イシハラクリニック」副院長の石原新菜医師だ。
「ショウガにはジンゲロンという辛み成分があり、末梢血管を開いて血流を促し、血圧を下げる効果が期待できます。ショウガを入れる時は、皮ごと擦ったものを入れるのがコツ。ジンゲロンは皮の部分に多く、利尿作用があり、尿は塩分を排出しますから、血圧を下げる効果がいっそう高まるでしょう」
血圧を下げる目的なら、1日の活動を始める朝に米麹の甘酒を飲むとよい。米麹の甘酒は常温か冷やして飲むこと。米麹の成分は高温に弱く、熱で壊れてしまうからだ。
【腸内細菌を改善、便秘解消効果も】
「おおたけ消化器内科クリニック」の大竹真一郎院長は、米麹の甘酒を飲むと腸内の善玉菌が増え、免疫機能を高める効果が期待できると語った。
「実は、体の免疫細胞の60%は腸に集まっています。腸内の免疫細胞を活性化させるには、腸内の善玉菌を増やすことです。米麹自体が善玉菌なのです。甘酒はブドウ糖などの栄養素が豊富で、善玉菌のエサになります。腸内環境が改善されれば、便通もよくなり、体温が上がり冷えの解消にもつながります」
まずは、1週間継続して飲むことがオススメだという。