ちょっと温めた甘酒がおいしい季節になった。酒の残りかすで作ったイメージがある甘酒だが、実は「飲む美容液」とも「飲む点滴」とも呼ばれ、とても栄養に富んだ飲み物なのだ。
最近は、女性にうれしい「美肌効果」が期待できる報告が相次いでいる。甘酒の健康的でおいしいいただき方を紹介しよう。
目の下のクマがみるみる明るく
甘酒の「美肌効果」の研究を行なったのは東京工科大学と森永製菓の合同チームだ。甘酒には、原料が酒粕(かす)と米麹(こうじ)の2種類の甘酒があるが、研究では両方混ぜた甘酒を使った。2015年5月12日に森永製菓が発表したプレスリリースによると、研究チームは40~60代の女性17人を対象に、女性が一番気になる「目の下のクマ」への美容効果を調べた。
女性たちを朝晩2回コップ1杯の甘酒を飲むグループと、甘酒風味のプラセボ(ニセの飲料)を飲むグループに分け、1か月間続けてもらった。そしてクマの変化を比較した。変化はクマ部分の肌の明るさを計測した。すると、甘酒グループは約30%明度が向上したが、プラセボグループは逆に約20%明度が下がった。一人ひとりに使用後の印象を聞き取り調査した結果でも、甘酒グループの方が、「目の下のクマが薄くなった」「髪のつやがよくなった」「朝の目覚めがスッキリするようになった」と答えた人が多かった。
甘酒の成分には後に述べるように血流をよくする働きがある。目の下のクマが黒ずんでいるのは、加齢や睡眠不足などで血液の流れが悪くなって目の下にたまり、薄い皮膚から透けて見えるからだ。甘酒を飲むことによって血流が改善し、血液の色が薄くなったと考えられる。
美肌効果といえば、2016年12月5日放送のNHK「あさイチ 飲む美容液!甘酒特集」で、神戸女学院大の高岡素子教授(食品学)がこう解説した。
「実験で、10人の女子学生に甘酒を寝る前に飲むことを4週間続けてもらったところ、うち8人に美肌効果が見られました。甘酒には、トリプトファン、ロイシンといった必須アミノ酸が9種類すべて含まれています。整腸作用のあるオリゴ糖などのビタミンB群が多いし、最強のアンチエイジング物質のエルゴチオネインまで入っているんです。肌の表面が荒れていると、水分が逃げますが、甘酒によって保水力が高まるのです」
エルゴチオネインは、合成した市販製品がなんと1グラム約20万円もするほど高価な抗酸化成分だ。それが天然で含まれている。