東日本大震災後も熊本、鳥取、福島と各地で強い地震が続いているが、芝浦工業大学は2016年11月29日、スターリングエンジンとソーラーパネルを組み合わせ、災害時に電気とお湯を供給できる軽自動車型ハイブリッド電源車を開発したと発表した。
発電とお湯をつくるエンジンの燃料に廃材を使い、太陽エネルギーと合わせ、被災地の復旧と生活支援に役立てる優れものだ。
軽トラックの荷台と屋根で全部まかなう
芝浦工業大学の発表資料によると、「たとえ被災しても、電気とお湯があれば、必要最低限の生活は確保できる」という考えのもと、同大電気工学科の高見弘教授のチームが開発した。軽トラックの荷台にスターリングエンジンを置き、屋根にはソーラーパネルを載せ、太陽光エネルギーも併用している。
スターリングエンジンとは、シリンダー内のガスを外部から加熱・冷却し、その体積変化でピストンを動かす仕組みの外熱機関だ。既存のガソリンエンジンより熱効率が高く、外部から暖めれば良いため廃材などを利用できる。スターリングエンジンを動かして電気をつくると同時にエンジンの冷却水を温め、お湯をつくる仕組みだ。
高見教授は以前からスターリングエンジンの研究を進めてきた。実験では、燃料に木くずをペレット状に固めた「木質バイオマスペレット」を使った。3キログラムのペレット(約120円程度)を1時間燃焼すると、1キロワットの電力(スマートフォンの充電約70台分)と、45度に温めた湯を200リットル提供できることがわかった。また、日中は屋根に取り付けたソーラーパネルにより、1時間で最大600ワット発電し、軽トラックの荷台に載せた蓄電池に充電、必要に応じて提供することもできる。
高見教授は発表資料の中で、「今後は雨天時にも安定稼働できるよう耐久性を高めます。将来は専用のペレット燃料でなく、被災地でガレキなどの廃材を調達し、その場で発電できる電源車の完成を目指します」と語っている。